1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05204203
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
笠 京子 香川大学, 法学部, 助教授 (90210822)
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Keywords | 交通 / 特殊法人 / 地方公社 / 戦後 |
Research Abstract |
今年度は、政策入力過程における私的諮問機関と審議会の機能と、政策出力過程における公企業の役割について研究をおこなった。いずれも交通政策にかかわる組織に限定せず、わがくにの政治行政体系全体に占める当該制度の位置の把握に努めた。 私的諮問機関と審議会の研究からは、法的根拠の有無や設置方法、期間、構成員の数や属性などの違いから、政策形成過程における機能が異なっていること、いずれも重要な機能を担っているがとくに私的諮問機関の重要性が高いことが明らかになった。私的諮問機関は、行政組織の実務レベルが非公式に設けるプロジェクトチームともいうべきもので、民間企業の代表者を中心に専門家が、専門的で実質的な議論をおこなう場であり、正式の意思決定者である政治との交渉の出発点でもある。行政の付属機関として法的根拠をもつ審議会は、より後の過程で、民主的手続の一段階として機能することが多い。 公企業の研究から得られた知見は第一に、公企業は中央地方ともに戦後一貫して増大してきたが、80年代の小さな政府論に代表される政策転換によって中央政府レベルでは縮小に転じ、地方政府レベルでは拡大が加速されたことである。特殊法人の一部は特殊会社化あるいは民間化されたが、地方政府では商法に基づく地方公社が急増している。第二に、中央政府レベルの公企業(特殊法人)は、職員構成、財源、法令の点で、地方政府レベルの公企業(地方公社)より、行政官庁と一体化している。 来年度は、これらの諸制度のうち交通政策に関連する機関について検討し、今年度上記の研究に並行して収集した、地域交通網や基幹交通網に関する統計資料とあわせて分析する。その中心は、地域比較研究になる予定である。
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