1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05207113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高谷 好一 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (90027582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 健一 京都大学, 東南アジア研究センター, 助手 (80222644)
松原 正毅 国立民族学博物館, 教授 (30110084)
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
掛谷 誠 アフリカ地域研究センター, 教授 (30020142)
應地 利明 京都大学, 文学部, 教授 (60024212)
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Keywords | 地域 / 地域研究 / 文明 / 文化 / 21世紀 / 共存 / 世界単位 / 学際的研究 |
Research Abstract |
今年度は、各研究分担者が、高谷の提出した「世界単位」の概念を、それぞれ関わりの深い地域と専門領域に引き寄せ、批判・検証・論考するための研究会を定期的にもった。 まず、4月に高谷が「世界と世界単位」と題して、いわば基調報告を行った。そこでは、高谷の想定した「世界単位」それ自体の検討よりも、世界単位「間」に存立する地域へ注意が払われた。6月には家島が、インド洋を事例に「海が創る文明」と題して話題提供を行った。ネットワークを基軸とする海域世界、その鎖状の連関から「海域」を区切る試みは、歴史的であるとともに、新たな世界秩序を模索する極めて今日的な課題を内包している。9月には阿部が、「海の文明」に対して、東南アジアを事例に、「森が創る文明」と題して生態環境、ことに「森」に規定される地域の話題を提供した。10月には前田成文氏(京大)を招き、地域を一つの地理的単位に統合する力学に関して討論を行った。東南アジアのそれは無数の小さい連鎖すなわち「つなぎ」である、とする考え方は、地域性の形成原理に関わる重要な視点であった。1月には川喜田二郎氏を講師として迎え、「地域研究とは何か」について議論した。地域を「生命体」として把握し描写する手法は、ともすれば空理空論に墜する議論を、身近な実体のある場へと引き戻した。2月の総括班主催の研究集会「地域性の成立をめぐって」に於いては、当班から應地、掛谷が、それぞれインド、アフリカを論じた。そこでは、インドのようないわゆる普遍論理を発明した地域と、アフリカのような個別論理を持つ小社会が無数に存在しているような地域とでは、地域を捉える手法そのものもまた別なものでなければならないという結論を得、今後の検討課題へと引き継いだ。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 高谷好一: "「地域」とは何か" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『地域研究の手法』. 23-45 (1993)
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[Publications] 高谷好一: "「世界」を区切る旅" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『地域研究のフロンティア』. 3-25 (1993)
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[Publications] 高谷好一: "人類の過去・現在・末来" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『地域研究と「発展」の論理』. 249-272 (1993)
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[Publications] 高谷好一: "世界のなかの「世界単位」" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『世界単位論』. (発表予定).
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[Publications] 高谷好一: "中華世界" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『世界単位論』. (発表予定).
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[Publications] 應地利明: "南アジアの都城思想-理念と形態" 『イスラームの都市性』 板垣雄三・後藤 明編 日本学術振興会. 209-225 (1993)
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[Publications] 應地利明: "ニジェール川内陸デルタの稲作-アジア研究者の視点から" 『農耕の技術と文化』佐々木高明編,集英社. 66-81 (1993)
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[Publications] 應地利明: "シルク・ロードと犁-トルキスタン型インド犁をめぐる東西交流" 西南アジア研究. 38. 3-16 (1993)
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[Publications] 應地利明: "タイにおける稲作慣行農法と犁の調査-犁耕の起源とも関連させて" 東南アジア研究. 31-2. 104-131 (1993)
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[Publications] 應地利明: "インド" 講座 現代の地域研究 矢野鴨編 弘文堂 『世界単位論』. (発表予定).
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[Publications] 應地利明: "世界に誇るデカンの雑穀農耕" 『ドラヴィダの世界』辛島昇ほか編,東京大学出版会. (発表予定).
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[Publications] 掛谷誠: "ミオンボ林の農耕民-その生態と社会編成" 『アフリカ研究-人・ことば・文化』赤坂賢ほか編,世界思想社. 19-30 (1993)
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[Publications] 掛谷誠: "ベンバ族" 『世界の民 光と影(下)』綾部垣雄監修,信濃毎日新聞社編 明石書店. 113-121 (1993)
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[Publications] 家島彦一: "インド洋海域の交易都市ネットワーク" 『イスラームの都市性』板垣雄三・後藤明編,日本学術振興会. 96-112 (1993)
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[Publications] 家島彦一: "国際交易ネットワーク" 『パクス・イスラミカの世紀』新書イスラームの世界史(2) 講談社現代新書. 227-259 (1993)
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[Publications] 家島彦一: "インド洋貿易" 『歴史学事典』第1巻(交換と消費),川北稔編,弘文堂. 37-44 (1994)
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[Publications] 家島彦一: "イブン・バットゥータ「メッカ巡礼記」の諸写本について" 東西海上交流史研究. 3. 115-139 (1994)
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[Publications] 家島彦一: "チュニジアの定期市サークル" 『イスラム圏における異文化接触のメカニズム』家島彦一編,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所. 130-160 (1994)
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[Publications] 家島彦一: "人間動態と情報に関する総合的研究-問題提起" 『イスラム圏における異文化接触のメカニズム』家島彦一編,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所. 5-12 (1994)
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[Publications] 家島彦一: "都市・国家・海域-イエメン・ラスール朝スルタン・ムザッファルのズファール遠征の事例から" アジア・アフリカ言語文化研究(出版予定). 46・47. (1994)
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[Publications] 阿部健一: "スマトラ泥炭湿地林の近代-試論-" 東南アジア研究. 31-3. 191-205 (1994)