1993 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連有機遷移金属錯体における立体識別と反応制御
Project/Area Number |
05209221
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬恒 潤一郎 神戸大学, 理学部, 助教授 (10117997)
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Keywords | ポルフィリン / 有機金属錯体 / 補酵素 / ジオールデハイドラーゼ / コバルト / 転位反応 |
Research Abstract |
1.Ci対称性コバルトポルフィリンの合成と反応 有機金属ポルフィリンに於いて、有機軸配位子に対するポルフィリン配位子の立体的相互作用とその反応制御について検討する事を目的として、テトラアリールポルフィリンの4つのメソアリール基のオルト位に、アセチルアミノ基、メトキシ基、プロトン(無置換)、ベンゾ基(縮環)の4つの異なった置換基を一定の配置で導入することが可能となった。次に、そのコバルト錯体を用いてアルケンのヒドロメタル化反応を行った。この反応ではポルフィリンのアミド置換基と水素結合の可能なビニルエステルの場合に(1-アシロキシエチル)コバルト錯体がジアステレオ選択的に得られたことが判った。 2.コバルトポルフィリンを用いた補酵素B12の水素移動反応モデル 補酵素B12が関与する典型的な反応としてジオールデハイドラーゼによる1、2-ジオールとアルデヒドとの水素移動異性化反応が良く知られている。関連する基質ラジカル種がコバルト2価と共存する状態の反応挙動を明らかにすることは重要なモデル研究である。コバルトポルフィリンのヒドリド種とアルケンの反応では生成した有機ラジカルがコバルト2価と結合する。コバルトポルフィリン/水素化ホウ素ナトリウム/t-ブチルヒドロペルオキシドのヒドリド種生成反応系で種々のアリルエステルを反応させると、B12の水素移動反応と形式的に類似した異性化反応が起こる事を見いだした。(i)溶媒であるメタノールの存在下にも拘わらず、加溶媒分解を受けない転移生成物が得られる事、(ii)-OC(S)R基が-OC(O)R基に比べて転移生成物を増加させる事から、この反応はラジカル反応機構で進行するものと考えられ、B12の反応機構と関わる新しい知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)