1993 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下セレンおよびテルル結晶の構造相転移の理論的研究
Project/Area Number |
05215203
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
進藤 浩一 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (10004384)
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Keywords | セレン / テルル / 構造相転移 / 高圧 / バンド計算 / 擬ポテンシャル / 全エネルギー |
Research Abstract |
Vlb族のSeとTeは、常温常圧の下では二配位の共有結合をもつ半導体で、三方晶系に属しているが、高圧下では数回の構造相転移をするとともに金属化する。これまで我々は、多価半導体が示す複雑な中間圧力の構造での金属化と対称性の高い超高圧構造への変化を系統的に研究してきた。SeとTeについても、超高圧構造のβ-Po構造からBCC構造への相転移のメカニズムを局所密度近似による擬ポテンシャル-全エネルギー計算法に従い、全エネルギー、詳細なバンド計算、状態密度の計算を行うことにより調べてきた。さらに、低圧構造(斜方晶および単斜晶)に関しても計算を進め以下のような知見が得られた。なお、内部構造の決定にはHellmann-Feynman力フリーの条件を、軸比の決定においては計算精度を高めるためストレスの計算を併用した。1.β-Po構造とBCC構造について得られた状態方程式は、Se,Teとも実験結果と概ね一致している。特に、β-Po構造における軸比(c/a)の体積依存性と転移点との一致は良好である。2.これまでの報告によるとSeとTeとでは内部構造が異なり、前者は底心斜方晶(BCO)で、後者は単純斜方晶(SO)となっている。我々のバンド計算の結果、特にフェルミ面近傍のバンドの詳細を調べるとBCO構造は不安定となり、SO構造から単斜晶構造へと変化する可能性がある。しかし、何故BCO構造がSeで安定に存在するのかの結論は得られなかった。3.非常に最近の実験結果によると同族のS(イオウ)に関しても同様な逐次構造相転移が観察されており、我々の計算結果もSe,Teと同様の結果が得られた。これらの結果は、第22回半導体物理学国際会議および第6回半導体物理高圧国際会議において発表する予定である。
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