1993 Fiscal Year Annual Research Report
密度汎関数法的分子動力学法による非平衡金属相の多体系としてのダイナミクスの研究
Project/Area Number |
05215208
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相原 智康 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00231100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 清 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70124542)
増本 健 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20005854)
|
Keywords | 分子動力学法 / 密度汎関数法 / 多体ポテンシャル / 非平衡 / アモルファス合金 / ダイナミックス / 中性子非弾性散乱 / 中間散乱因子 |
Research Abstract |
金属材料の非平衡相に関する分子動力学シミュレーションを行った.電子状態に起因した金属特有の諸性質を簡便かつ効果的にシミュレーションに反映させるために,原子間相互作用の記述方法として,密度汎関数法をもとに得られる汎関数多体ポテンシャルを用いた.非平衡金属相としては,工業的にも注目されている多元系アモルファス合金を取り扱った.シミュレーションから,従来は実験的に得ることができなかった過冷却液体状態を含めた,各温度での一般化振動状態密度をもとめた.室温での結果は,中性子非弾性散乱のデータとよく一致し,汎関数多体ポテンシャルを用いた分子動力学シミュレーションにより,現実のランダム構造物質のダイナミックスがよく再現することを明らかにした.また,非平衡物質中の空間的なエネルギー分布の揺らぎを解析するために,新たに,個々の原子に帰属するエネルギーであるサイトエネルギーの考え方を分子動力学法に適用し,その分布関数を明らかにした.アモルファス状態においては,サイトエネルギーは非対称なエネルギー分布を有し,原子種によっては局所的にアモルファス状態の方が低エネルギー状態にあることを明らかにした.このようなエネルギー,構造,ダイナミックスをあわせて考察することにより,アモルファス相の生成要因についての理解が得られた.
|