1993 Fiscal Year Annual Research Report
エリアシュベルグ理論による低次元超伝導物質の理論的設計
Project/Area Number |
05215219
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田仲 由喜夫 新潟大学, 理学部, 助手 (40212039)
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Keywords | 低次元超伝導体 / 電子相関 / ハバードモデル / ペアポテンシャル |
Research Abstract |
我々がめざしているのは,エリアシュベルグ理論を用いた低次元,強相関電子系の超伝導の研究であるが,そのためにはいくつかの準備が必要であり理論的,数値計算の方法論の開発にあたってきた。超伝導の問題を本当に理解するには,ペアポテンシャルの波数依存性,周波数依存性,そして転移温度だけでなく,自由エネルギーを評価して常伝導状態よりも安定になっていることを示さないといけない。ここでは,ペアポテンシャルの周波数依存性が問題にならない場合,すなわちinstantaneousな引力をまず仮定した範囲の超伝導のモデルについて,ペアポテンシャルの波数依存性,自己エネルギー(ケミカルポテンシャル,バンド幅の繰り込み)を考慮して,自由エネルギーを計算して,各種秩序の安定性を議論した。最近の高温超伝導の研究においてペアポテンシャルの対称性,拡張s波か,d波かといったことが問題になっていて,さまざまなペアリング状態とフリーエネルギーとの関係を調べる方法論を確立することは重要である。1次元系では厳密対角化などによりかなり素性の知れた簡単なモデルである拡張引力型ハバードモデルの超伝導について,2次元で分子場近似の範囲で行って異なる対称性をもつペアがいかに混じりあうのかを明らかにした。かつて,Micnasらはこの系の超伝導について,調べている。しかし彼らの計算においては,バンド幅の繰り込みの効果を無視した範囲でのみ転移温度が計算されているだけである。ペアの混合状態においては,フォックパラメータの種類が複数必要なことが初めて示された。一般に次近接間のサイトの電子のホッピング効果で,s波,d波が混じるときにs+idの状態がそれぞれ独立に存在するときよりも,安定になることを示した。またon-siteの斥力が強くなると,この安定化は弱められることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)