1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05221101
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 隆平 東京大学, 工学部, 助教授 (00202466)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健郎 東北大学, 工学部, 講師 (30209639)
|
Keywords | 生体軟組織 / 血管壁 / 力学特性 / 局所弾性率 / ピペット吸引法 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
生体中で大きな比率を占める軟組織の力学的特性を測定する場合、主として生体ゆえの取扱いにくさから、既存工業材料に対する測定法をそのまま用いることは困難である。また、血管壁などのように微細な領域の局所的な特性を知る必要がある場合にも、従来の引張試験に代表される測定法は適さない。そのため、生体軟組織に適した簡便な力学的特性の測定方法の開発は不可欠である。このような視点に立って、本研究では、従来細胞レベルの弾性率測定に用いられてきたマイクロピペット吸引法の原理に基き内径がサブミリオーダーのピペットを利用した初期弾性率測定法を提案し、実際の測定に応用した。 ピペット吸引法は、試料表面に押し当てたピペット内の圧力を吸引によって下げることで試料の一部をピペット内に吸い上げ、その変形量と吸引圧力の関係から測定対象の弾性率を求める方法である。まず、有限要素法による測定の詳細な数値シミュレーションを実施して実験と比較することで測定の精度向上をはかった。この場合の解析から、ピペットの壁厚、測定対象の板厚および異方性が測定結果に影響を与え得る主なパラメータになることがわかり、特にピペットの壁厚と測定対象の板厚については、ピペットの内半径で無次元化した場合それぞれある値以上で影響がなくなることがわかった。実験では実際にウサギの大動脈を対象として基礎的なデータを取得した。これにより、従来測定が困難であった血管壁の厚さ方向弾性率を求めることができることを示し、その値が他の方法で推定されている値に極めて近いことを確認した。また、測定対象が力学的な異方性を示す場合、従来の円形断面ピペットでは測定が困難であった異方性弾性率もアスペクト比が5程度以上の長方形断面形状のピペットを用いることで容易に求められることを解析で示した。
|
Research Products
(2 results)