1993 Fiscal Year Annual Research Report
流体力学的ストレスによる動脈変化-内皮細胞の重要性について
Project/Area Number |
05221208
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 秋田大学, 医学部, 教授 (60103462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 達朗 秋田大学, 医学部, 助手 (90221316)
川村 公一 秋田大学, 医学部, 講師 (00091801)
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Keywords | 血管 / 動脈 / 血流 / 血管改築 / 家兎 / ラット / 動脈硬化 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
血流依存性の動脈変化を平成4年度にひき続き検討し次の結果を得た。 イ:ラット総頸動脈-外頸静脈吻合による総頸動脈血流負荷実験によって次のことがわかった。 1)ラット総頸動脈において血流増大による動脈拡大は、内皮細胞を剥離することによって消失した。2)内皮細胞剥離後再生した内皮細胞には血流依存性の動脈拡大は消失した。3)ニトロアルギニン腹腔内投与により血流増大による動脈拡大は減少した。 ロ:家兎総頸動脈-外頸静脈吻合による総頸動脈血流負荷実験によって次のことがわかった。1)平成4年度のよってすでに判明している血流増大による動脈拡大は、血流を再び減少してやること(内吻合の閉鎖)によって、縮小することがわかった。2)縮小は動脈壁の収縮によるだけでは充分ではなく、内膜への平滑筋細胞の増殖による内膜肥厚をもたらした。3)内吻合による血流増大、内吻合閉鎖による血流減少を3回くりかえした実験を8羽の家兎で完成した(平成4年度には1羽しか作成できなかった)。これにより血流増減により内膜の層状の肥厚が生じることが証明できた。 本年度の研究では以上のことを明かにできた。いずれの結果も内腔を流れる流体力学的ストレス(おもに壁ずり応力)によって動脈の形態がダイナミックに変化することを示している。さらにこのためには保たれた内皮細胞が必要であることが示唆された。血流増減で生じた内膜肥厚は平滑筋細胞の規則的な増殖によるもので計画的にコントロールできるもので、動脈硬化の研究でははじめてのものである。つまり血流を増減させて壁ずり応力を10ないし20ダイン平方センチメートルからずらせてやると血流のストレスは内皮細胞を反応させ、動脈壁を改築する、それは最終的には内腔の広さを変えることになるのである。
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[Publications] H.MASUDA他: "Effects of endothelial denudation in flow-induced arterial dilatation" Frontiers Med.Biol.Engng.5. 57-62 (1993)
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[Publications] 増田弘毅他: "血管における血流の意義,血流の変化による動脈変化,および剖検・生検における応用" 病理と臨床. 11. 821-827 (1993)
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[Publications] Y.SUZUKI,H.MASUDA他: "Limited adaptation in chronically hypertrophied hearts from aortic constricted rats:Increased in homogeneity in cross-sectional area of Cardiomyocytes and intercapillary distance" Tohoku J.Exp.Med.170. 181-195 (1993)
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[Publications] 増田弘毅他: "血流負荷による血管反応に対する内皮細胞の役割" 血管と内皮. 4. 39-47 (1994)
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[Publications] 増田弘毅: "動脈硬化と内皮細胞" 検査と技術. 21. 849-850 (1993)
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[Publications] 増田弘毅: "動脈硬化と血流" 診療と新薬. 30. 2017-2018 (1993)