1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05222209
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西川 恵子 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (60080470)
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Keywords | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / X線回折 / 動径分布関数 / ゆらぎ / クラスター |
Research Abstract |
本研究は、X線回折実験により動径分布関数およびゆらぎの情報を得て、分子論的スケールで超臨界流体の構造を明らかにすることを目的としている。 動径分布関数を得るためには、広角散乱実験が必要である。前年度完成した超臨界流体用試料ホルダーと、既存の二次元検出器つき回折計を用いて、二酸化炭素を試料とし、臨界点近傍の数種類の熱力学状態(超臨界状態2種類、液体4種類)の回折強度を得て、動径分布関数を求めた。(ここで、高圧液体の回折実験を行ったのは、これらの結果を超臨界流体と比較し、より超臨界流体の構造を理解するためである。)液体から臨界点を経て超臨界流体への構造変化は比較的連続的である。液体および超臨界流体とも直径13〜14Aにわたる構造相関が存在している。液体の場合は、任意の分子を中心にしてこのまわりにできている部分構造の領域と考えられる。超臨界流体の場合は、分子の分布密度の高い領域(以下クラスターと呼ぶ)の大きさをあたえているものと解釈した。これから判断すると、クラスターを構成している分子数は20数個である。また、十分な領域までは得られていないが、小角領域のGuinier Plotから求めたクラスターの大きさも上記の値とよく一致した。また、液体状態の部分構造のシュミレーションを行い、液体では結晶構造と同じような部分構造が維持されていることがわかった。このように、広角散乱実験により、超臨界状態の二酸化炭素の構造、特にクラスタリングの様が明らかになった。 ゆらぎを求めるための小角散乱装置は、ほぼ立ち上げを完了した。すでに求めてある広角散乱実験の結果と組み合わせることにより、より総合的に超臨界流体の構造理解がすすむものと思われる。
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Research Products
(1 results)