1993 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体中の異性化反応におけるクラマース反転現象の検証
Project/Area Number |
05222213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 公彦 京都大学, 理学部, 講師 (80025436)
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Keywords | 超臨界流体 / 異性化反応 / ビニルアントラセン / 蛍光スペクトル / 蛍光寿命 / 圧力効果 / 粘性効果 |
Research Abstract |
本研究では2-ビニルアントラセン(2VA)のS_1励起状態での光異性化反応を対象として、超臨界流体の低密度状態を反応媒体として利用した低密度領域から、液相領域に至る広範囲な粘性領域での異性化速度の測定を行ない、クラマース反転現象を実験的に検証するのが本研究の究極の目的である。 今年度は、超臨界流体中での測定のための高圧光学セルの設計・製作を行なうと共に、液相高粘性領域での測定から出発した。 液相領域ではn-アルカン(n-ペンタン,n-ヘキサン)溶媒(〜10^<-5>M)で、500MPaまでの異性化の速度定数(k_f)の圧力依存性を測定した。この高圧装置は現有のものを用いた。蛍光寿命の測定はTi-Sapphireレーザーを励起光源とした時間分解光量子計数(TCSPC)法(70psfwhm)である。一方、今回製作した超臨界流体での光学高圧セルと高圧発生装置を用いて、CO_2(8-10MPa,40℃)媒体で、異性化の平衡定数(K^*=k_f/k_r)の測定を行なった。両方の異性体(A^*,B^*)の蛍光が観測され、圧力によってその割合は変化する。(蛍光スペクトルの面積比から求めた)K^*の値は溶媒粘度の増加と共に減少する。また、CO_2中9.6MPa,40℃では、K^*の値は4.3となった。 すべての蛍光減衰曲線は二成分指数関数で良く再現できた。短寿命成分(τ_1〜(k_a+k_f+k_r)^<-1>)は増大し、長寿命成分(τ_2〜k_a^<-1>)は減少する。これらの結果から得られたk_fの溶媒粘度に対する変化について、粘度の低い領域で減少の割合が減る傾向はクラマース反転領域が近いことを暗示している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 原 公彦: "高圧下の光異性化反応に対するダイナミックな溶媒効果" 高圧力の科学と技術. 2. 110-118 (1993)
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[Publications] 原 公彦: "高圧ガス媒体の異性化反応" 高圧ガス. 31. 31-37 (1994)
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[Publications] Y.Taniguchi,M.Senoo,K.Hara(編・著): "High Pressure Liquids and Solutions" Elsevier Science Publishers Ltd., 191 (1994)