1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05223215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 幹宏 東京大学, 工学部, 教授 (60011128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩 工学系研究科大学院博士課程, 日本学術振興会特別研
伊藤 吾朗 東京大学, 工学部, 助手 (80158758)
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Keywords | 金属間化合物 / 環境脆化 / 水素脆化 / 不純物水素 / 超高真空焼鈍 / 破面 / 水素放出 |
Research Abstract |
鋳造後にHIP処理を施したTi-48mol%Al合金について,大気中の試験と超高真空下(10-7Pa)での引張試験を行ない、超高真空下での引張試験時の方が僅かではあるが延性が高くなることを確認した。超高真空下の試験時に試験片から大量の水素ガス(50リットルの試験室の内圧が一桁上昇)が放出されることを初めて明らかにし、Ti-Al金属間化合物の破壊への不純物水素の関与を実証した。これより、合金の延性には環境から侵入する水素と共に、試験前に材料中に内在する不純物水素の寄与も大きいことが示唆された。 そこで、このTi-Al合金の不純物水素の低減を図るため超高真空下(10^<-6> Pa)での焼鈍を行なうことにした。焼鈍温度の決定は,昇温しながら試料から放出される水素ガス量を計測する昇温脱離試験を行い,ガス放出の最も盛んな480℃とした。超高真空焼鈍を行なうと延性がやや向上するが、分析によれば合金はなお多量(700molppm)の水素を含有している。すなわちこれは超高真空焼鈍によっても、合金中の不純物水素量の低減が困難であることを示している。そしてこの超高真空焼鈍材からも、引張破断の瞬間にやはり多量の水素が破面から検出された。 上記のTi-Al合金は水素との親和力の大きいTiを含む合金であるため水素量の低減が困難であるとの見地から、水素との親和力のより小さいと考えられるNi_3Al-B合金について検討を行なうこととした。その結果、真空溶解を行い超高真空焼鈍した合金の試験片は、アルゴン雰囲気溶解・アルゴン雰囲焼鈍材に比べ延性が高く、破断時の放出水素量も少ないことが分かった。これらの結果を踏まえ、合金の延性に及ぼす水素の内、環境から侵入する水素と不純物水素のいずれの寄与が大きいか等については、平成6年度に引き続き検討を行なう予定である。
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Research Products
(1 results)