1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05224220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
為ケ井 強 東京大学, 工学部, 助教授 (30183073)
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Keywords | 微小ホール素子 / 高温超伝導体 / 臨界状態 / ピーク効果 |
Research Abstract |
本年度は主に、ホール素子移動機構の改良を行った。特に、試料からホール素子までの距離が測定分解能を決定するので、試料表面上を表面に平行に移動する自由度とは別に、試料からホール素子までの距離を測定しながら変えることができるように改良した装置を作製した。 微小ホール素子を用いた測定では、Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>単結晶に現われるピーク効果に重点を置き研究を行った。ピークを与える磁場が酸素量に強く依存するというBirmingham大学Yangらの測定結果を確認した。また、我々はTl_2Ba_2CaCu_2O_<8+y>でもBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>と同様のピーク効果がほぼ同じ磁場で現われることを発見した。しかしながら、Tl_2Ba_2CaCu_2O_<8+y>ではピーク磁場のアニール条件依存性は見られない。 現在、この現象に関しては大きく分けて2つのモデルが考えられている。第1は異方性の大きい超伝導体において期待される異方性に依存した磁束系の次元交差によるもの。第2はマッチング効果によるもの。第1の機構は最近の中性子小角散乱の実験により磁束の層間の相関がピーク磁場付近で大きく変化していることが示されたことにより支持されている。また第2の機構はYangらによるBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>単結晶での規則正しい転位のネットワークの発見が裏づけとなっている。 これら異方性の大きい超伝導体におけるピーク効果の起因を知るには、Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>のアニール雰囲気によるピーク磁場の変化が転位密度の変化ではなく異方性の変化を反映しているのではないか、また、Tl_2Ba_2CaCu_2O_<8+y>にもBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>と同様の転位のネットワークがあるのか等を総合的に検討し判断する必要がある。現在、これらを確認する実験が進行中である。
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Research Products
(1 results)