1993 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルパルス磁場によるフラックスピニングの緩和の研究
Project/Area Number |
05224230
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本河 光博 神戸大学, 理学部, 教授 (30028188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 仁 神戸大学, 理学部, 助手 (70194173)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / フラックスピニング / パルス磁場 |
Research Abstract |
昨年までに、我々の研究室で作った粉末YBCO試料で予備的な実験は行っていた。本年は補助金で装置を整備し以下の試料につき実験を行った。 YBCO単結晶 #1 新日本製鐵製 #2 物性研製 YBCO多結晶(溶融法) #3 大阪府立産業技術総合研製 試料#1、2、3について、ダブルパルス磁場をc軸に平行にかけ、二つのパルス磁場の間隔を変化させながら残留磁化M1とM2を求めて整理した。特徴的なことは、以前の粉末試料では全時間域で直線的に見えたものが、これら三つの試料では折れ線になり、二つの緩和特性を示すことである。そしてクロスオーバーする時間は試料によって異なる。この現象はフラックスをピン止めするトラップの深さが一種類でないことを意味する。一応データーを整理して物理量をだしてみたがその処理方法に色々と問題のあることがわかった。以前粉末試料で測定を行ったときはかける磁場が十分強いとき、第1パルス磁場と第2パルス磁場による磁化曲線が強磁場領域でほぼ完全に一致した。しかし今回用いた試料では一致しない。二つのパルス磁場の時間間隔が短いときには第2パルス磁場の磁化曲線が第1のものより小さいが、時間が長くなると逆に第2パルス磁場の磁化曲線が第1のものより大きくなる。したがって上のデーター処理においては、帰りの磁場での磁化の大きさが同じであると仮定してM1とM2を得た。しかしこの仮定が正しいかどうかもう少し検討する必要がある。 一方、単結晶試料において磁場をc軸に垂直にかけた場合はもっと複雑であることがわかった。そもそも磁場をc軸に垂直にかけた場合フラックスはどのように入り、超伝導電流はどこを流れるのかあまり明確ではない。したがってこの場合フラックスピニングの問題も一筋縄では行かないような気がする。このような理由により磁場がc軸に垂直の場合は、平行の場合のような緩和時間を導くデーター処理ができなかった。これも今後考えるべき問題である。
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