1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05225220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
園田 昇 大阪大学, 工学部, 教授 (20083983)
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Keywords | 二酸化炭素 / セレン化カルボニル / チオカルボニル / 一酸化炭素 / カルボニル化 / チオイソシアナート |
Research Abstract |
本研究は、セレン化カルボニルを二酸化炭素の活性化形態としてとらえ、その反応特性の解明と合成反応への応用を目的として行ったものであり、下記に示す研究成果を得た。セレン、アミン、一酸化炭素を常温、常圧の条件下反応させ、生成したセレノール炭酸塩を低温下で酸分解することにより、セレン化カルボニルの効率的発生法を開発した。また、得られたセレン化カルボニルと種々の求核剤との反応を検討したところ、求核剤の種類によりセレン化カルボニルの反応点が異なるという興味ある結果を得た。すなわち、アミンなどのハードな求核種は、中心炭素を攻撃しカルバモセレノアート類を与えるのに対し、炭素アニオンなどのソフトな求核種はセレンを選択的に攻撃することを明らかにした。さらに、硫黄との反応を詳細に検討した結果、塩基存在下、セレン化カルボニルと硫黄が穏和な条件で交換反応を起こし、二酸化炭素同族体であるチオカルボニルを生成することを見いだした。また、この原理を発展させ、二酸化炭素と等電子構造を有するチオイソシアナートの生成反応に、セレン、およびテルルが高い触媒能を有することを見いだした。さらに、セレンを用いるカルボニル化反応として、炭素求核剤とセレン、一酸化炭素との反応を検討し、リチウムエノラートやベンジルリチウムなどの比較的安定な有機リチウム化合物が、常圧の一酸化炭素雰囲気下で効率よくセレノカルボキシル化されることを見いだした。この反応経路は現在検討中であるが、おそらく次のようであると推測している。本反応は、有機リチウム化合物とセレンとの反応によりリチウムセレノラートが生成し、これが一酸化炭素と反応して不安定なアシルリチウム中間体を与え、続く転位によりセレノカルボキシラートに至る経路で進行していると考えられるが、反応機構の詳細については現在検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Noboru Sonoda: "Selenium Assisted Carbonylation with Carbon Monoxide" Pure and Applied Chemistry. 65. 699-706 (1993)
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[Publications] Toru Inoue: "Synthesis of Te-Alkyl Carbamotelluroates from tellurium,Carbon Monoxide,Amines,and Alkyl Halides" Heteroatom Chemistry. 4. 471-474 (1993)