1993 Fiscal Year Annual Research Report
前・後周期混合金属クラスターによる小分子の高効率変換系の構築
Project/Area Number |
05225226
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北川 進 東京都立大学, 理学部, 教授 (20140303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 知 東京都立大学, 理学部, 助手 (10211864)
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Keywords | バナジウム錯体 / 二核錯体 / 金属クラスター / 架橋配位子 / 金属間相互作用 |
Research Abstract |
金属クラスターは単核錯体に比べて複数の金属イオンの協同効果にもとずく立体的、及び電子的相互作用により、CO_2等のような小分子基質の酸化還元反応に於て特異的な反応場を与え得ると考えられる。特にルイス酸性度の異なる前周期遷移金属と後周期遷移金属から構成された前・後周期混合金属クラスターは小分子の活性化反応に対して高活性な反応場を形成することが期待される。低原子価のバナジウムイオンは酸素原子に対して高い親和性を持ち、また小分子有機基質に対して高い還元反応性を有する。これまでに混合金属クラスターの前周期金属ユニットとして多様な架橋配位子で連結された種々のバナジウム二核錯体を合成しその構造決定を行った。 実際の合成は3価のバナジウム錯体、VCl_3(thf)_3と配位子をTHF中、あるいはアセトニトリル中で反応させて行った。架橋配位子にはクロラニル酸(H_2ca)、ジヒドロキシベンゾキノン(H_2dhbq)、シュウ酸(H_2ox)、ジチオオキサミド(H_2dto)等を用いた。 得られた二核錯体は全てほぼ完全に平面構造を維持しておりバナジウム(III)イオンのdpi軌道が配位子のppi軌道と強く相互作用している。用いた架橋配位子のうち、ca^<2->及びdhbq^<2->配位子はそれ自体が酸化還元活性であり、実際にこれらの配位子で架橋された二核錯体は金属イオンとキノン型配位子が共に酸化還元反応に酸化した特異的な酸化還元反応性を示した。また、ox^<2->やdto^<2->を架橋配位子に持つ二核錯体はバナジウム間距離が極めて短くなっており、金属間に直接相互作用のあることが示された。
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Research Products
(1 results)