1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05226101
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 類 愛媛大学, 教養部, 助教授 (60207256)
田中 耕一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10116949)
広津 建 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10047269)
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Keywords | 分子磁性結晶 / 三重項ビラジカル / ニトロキシドラジカル / ラジカルアニオン / ビインデニリデン骨格 / フォトクロミズム / 電荷移動錯体 / ホモアリルニトロ化合物 |
Research Abstract |
新しい概念、方法論に基づく安定ラジカルの合成法の開発やスピン分極の大きな新種の安定ラジカルの合成が、新規有機磁性体構築のための必要条件となるとの観点から、(1)固相光照射によって、三重項ビラジカル種を発生する分子性結晶の設計と、(2)新規なニトロキシドラジカルアニオン生成法を用いた、新種のニトロキシドラジカルやニトロキシド型電荷移動錯体の合成、およびそれらの分子構造、結晶構造と磁気物性との関連性について検討した。 (1)黄色結晶のトランス-シン体ビインデニリデン誘導体を合成し、これに太陽光を短時間照射すると赤紫色に変色し、暗所に置くと再び元の黄色結晶に戻るという、固体状態でのフォトクロミズム現象を示すことを見いだした。光照射で赤紫色に変色したこれらの結晶は、三重項ビラジカル特有のESRシグナルを示し、分子内スピン間距離が約12Aであり、2個の電子がビインデニリデン骨格の両側のベンゼン環上に非局在化していることが判明した。X線結晶構造解析の結果、2個のインデニル環が同一平面に位置しており、光照射で発生するビラジカルが共鳴安定化の寄与を受けたと考えられる。 (2)ある種のエノン型ホモアリルニトロ化合物を合成し、これをSmI_2で還元すると、安定なラジカルアニオン種が生成することを見いだした。次いでこれのアニオン部を求電子試剤と反応させることにより、窒素のα位に4級不斉炭素を有する安定な五員環中性ニトロキシドラジカルを良好な収率で単離することができた。この粉末と単結晶の融点、旋光度およびX線回折図を比較することにより、これがラセミ混合物であることが判明した。事実、再結晶により自然分晶を起こし、光学活性体結晶が得られた。これは、ラセミ体のフリーラジカルがラセミ混合物として存在し、それが自然分晶を起こした最初の例である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] R.Tamura,S.Susuki,N.Azuma,A.Matsumoto,F.Toda,et al.: "Preparation and Spontaneous Optical Resolution of Nitroxide conglomerate Assuming Spiral Crystal Structure" Angewandte Chemie International Edition English. 33 (印刷中). (1994)
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[Publications] R.Tamura,Y.Nagata,H.Shimizu,A.Matsumoto,et al.: "Novel Tellurium-Containing p-Terphenoquinone Analogues:preparation and Unique Redox Properties of Paramagnetic Tellurium-Centered Radical Cation Complexes" Advanced Matererials. 5. 719-721 (1993)
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[Publications] R.Tamura,M.Kohno,S.Utsunomiya,K.Yamawaki,et al.: "Synthesis of PGB_1 Analogues by Radical Chain Substitution Reaction" The Journal of Organic Chemistry. 58. 3953-3959 (1993)