1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05226237
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中筋 一弘 大阪大学, 理学部, 教授 (60028230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 二郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70249952)
森田 靖 大阪大学, 理学部, 助手 (70230133)
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Keywords | 中性ラジカル / 強磁性 / スピン分極 / ガルビノキシル / フェナレニルラジカル |
Research Abstract |
安定中性ラジカルの開発を目指して新しい分子の設計・合成を行っている.特に,ヘテロ原子ラジカル,奇交互型共鳴系,嵩高い置換基の化学的役割に着目し,具体的にはこれらの特性を供えた新しい中性ラジカルとして,フェナレニル系を含むオキソフェナレノキシルラジカルの開発を行っている. フェナレニル骨格を持つ安定中性ラジカル,即ち,室温で単離可能なラジカルは未知である.そこで,3-オキソフェナレノキシルラジカルの反応性の知見を得るため3-ヒドロキシフェナレノン誘導体を合成し,対応するラジカルへの酸化反応を検討した.酸化剤としてはK_3[Fe(CN)_6],PbO_2,Ag_2CO_3を用いた.酸化生成物は目標とするラジカルが生成し二量化したと考えられる構造と決定した.酸化反応により,ナフタレン環の水素引抜き反応による生成物やスピロ構造を持つ生成物を得た.各種のスペクトルデータやX線結晶構造解析などを行って,前年度の研究成果を含め確実なものとした.さらに,ラジカル種に対する分子軌道法による考察を行い,2-位にスピン密度が局在している電子構造の特性を持つことを明かにし,ラジカルの安定化にはより嵩高い置換基または電子的効果の導入が必要であることを実験的に明かにした.これらの結果を考慮して,現在,スピン密度の非局在化の度合の大きな6-オキソフェナレノキシルラジカルの合成に着手している.
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[Publications] Y.Morita: "Synthesis and Properties of 1,6-Diselenapyrene(DSPY)and Its Methyl Chalcogens Derivatives" Chem.Lett.443-444 (1993)
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[Publications] H.Kitagawa: "A New Two-Band System of d and h with Interband H Bridges" Synthetic Metals. 55-57. 1783-1786 (1993)