1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05230018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 公一 東京大学, 教養学部, 助教授 (60114691)
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Keywords | サドル-ノード分岐 / 不変測度 / 中心極限定理 |
Research Abstract |
S^1上の可微分同相写像,拡大写像の1-パラメーター族が,その上の測度全体のなす無限次元空間に導くダイナミックスとその分岐の研究.特に不動点である不変測度のパラメーターが分岐点に近づく場合の極限を,計算機シミュレーションおよびその結果の数学的定式化という手順で調べた. (1)S^1上の可微分同相写像の1-パラメーター族が唯一つの固定点でサドル-ノード分岐を起こす場合.このときパラメーターの分岐値を0に取れば,固定点の近くでの写像の移動量はパラメーターの平方根に比例することが観察される.これを踏まえて,不変測度をパラメーターの平方根で正規化すれば,パラメーターが分岐値に近づく場合,その極限が存在し,コーシー分布に一致することを得た. (2)S^1上の拡大写像の1-パラメーター族が唯一つの固定点でサドル-ノード分岐を起こす場合.拡大写像の不変測度およびそれを指定した場合のダイナミックスは,同相写像の場合と異なり一意的ではない.従ってこのとき(1)と同じ定式化を行うことには無理がある.しかしながら拡大写像はS^1上のルベーグ測度に関して絶対連続な不変測度を唯一つ持っており,この測度は計算機シミュレーションで扱い易い利点を持っている.この標準的な不変測度に関して,同様にパラメーターの分岐値を0に取り,その平方根で正規化する.この状況下でパラメーターを分岐値に近づける計算機シミュレーションを行い,同相写像でのサドル-ノード分岐と同様の中心極限型の結果の裏付けを得た.
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