1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05230049
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
徳永 浩雄 高知大学, 理学部, 助手 (30211395)
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Keywords | Galois分岐被覆 / 楕円曲面 / branch locus / height pairing / Mordell-Weil群 / 非有理次数 |
Research Abstract |
当研究のテーマは代数多様体のGalois分岐被覆,特にGalois群が非可換有限群であるのもの効果的な,つまり具体的に実行可能な構成方法を与えることとその方法を用いてできる代数多様体の研究であった.このテーマに関し今年度得られた成果は以下の通りである.これらはすべて論文On dihedral Galois coveringにおいて研究したことや,それ以前の研究をより発展させたものである. 1.Preprint,Dihedral Galois coverings of RHO^2 branched along quintic curves では5以上の素数pに対し,5次曲線に沿って分岐する分岐するGalois分岐被覆でGalois群がD_<2p>であるものの分類をした.今年度はpが3のとき,問題となっていた楕円曲面の切断のheight pairingの値と楕円曲面の特異ファイバーとの関係を調べることによりその分類を行った. 2.射影平面の既約な6次曲線Cでpi_1(RHO^2\C)が非可換群となるものの例をいくつか与えた.これらはすべてD_6をGalo群とするRHO^2のGalois被覆のbranch locusとしてあらわれる.被覆の構成の際,keyとなるのはここでも楕円K3曲面のMordell-Weil群の位数3の元であった.pi_1(RHO^2\C)が非可換なる既約な曲線は比較的希であることがいままでの研究でわかっており,この結果は非可換なGalois群を持つGalois被覆の研究がそのような曲線の候補をみつけるのに有効であることを示している.この結果の一部はPreprint,S_3covering of P^2branched along certain sextic curves and elliptic surfacesにまとめた.また,Mathematicaを用いて上記の6次曲線のうちのひとつの例に対して具体的な定義方程式を求めた.これらに関する論文は現在準備中である. 3.D_6coveringを用いて,principally polarizedなAbel曲面でその非有理次数が3であるものの例を構成した.非有理次数が3になるAbel曲面としては(1,2)polarizationを持つものがすでに知られていたがprincipalなpolarizationを持つものに関しては例が存在するかどうか未知であった.この研究は吉原久夫氏との共同研究である.この研究に関する論文Degree of irrationality of Abelian surfacesはJournal of Algebraから多少の改訂をすればacceptという返事を受けとっており現在改訂中である. 当研究の最初の予定では2面体群以外に興味ある有限群,例えば,4元数群Q_<4n>や位数60の単純群A_5等をGalois群としてもつGalois分岐被覆を研究していく予定であったが上記のように2面体群の場合に様々なことがわかりつつあり,今のところこれらの群に関しては手つかずの状況である.
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Research Products
(1 results)