1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05232205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
歌田 實 東京大学, 総合研究資料館, 教授 (50012406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 厚行 千葉大学, 教養部, 助教授 (30150270)
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
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Keywords | 三途川カルデラ / 変質鉱物 / 累帯分布 / カルデラ型変質作用 / 熱水変質作用 |
Research Abstract |
本年度は、秋田県三途川地域をモデル地域として選び、表題の研究を行った。その結果、以下の成果を得た。 1.筆者らは地表調査から、この地域がカルデラ構造をもつことを明らかにしてきたが、本年度のボーリングコアの検討からもカルデラ構造が確認され、層序が確立された。 2.ボーリングコアのXRD分析の結果、シリカ鉱物、長石類、沸石類、粘土鉱物、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、その他の変質鉱物の28種が検出された。 3.変質鉱物の産状は大別すると、(1)火山ガラスや長石などを交代またはその粒間を埋めて生成するもの、(2)原物質と無関係に二次空隙を埋め、斑状集合として生成するもの、(3)フラクチャーを充填または脈状で生成するもの、に分けられる。 4.本地域の地表及びボーリングコアにみられる変質帯は三次元的に累帯分布をしている。成因的にみると、変質鉱物の産状に加え、累帯分布を構成する変質帯の組み合わせ、形態、規模、及び層序や地質構造との関係から、(1)続成作用、(2)カルデラ型変質作用、(3)熱水変質作用に分けられる。また、一部に、(4)貫入岩体による熱変成作用の可能性のあるものが認められた。このうち、カルデラ型変質作用は主としてカルデラ内に広くみられ、沸石類を多産する新タイプの変質作用である。熱水変質作用の中ではアルカリ性熱水変質作用が卓越し、カルシウム沸石を多産する。 5.上記4タイプの変質作用のうち、反応溶液の明かな流動が認められるのは熱水変質作用である。このうち、酸性熱水溶液は最も活動時期が新しく、現在まで続いている。その他の活動時期は不明であり、今後、含カリウム変質鉱物を用いて、K-Ar年代測定を試みる必要がある。
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