1993 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素の転位を活用する双極子性活性学種の創製と分子設計への応用
Project/Area Number |
05236226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松 満男 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 芳樹 大阪大学, 工学部, 教授 (70028984)
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Keywords | ケイ素 / 1,3-双極子 / アゾメチンイリド / 転位 / シクロ付加 / 複素環化合物 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
本研究ではケイ素のヘテロ原子への分子内転位を活用する双極子性活性中間体の新しい発生法の開拓と、それらの自己閉環やシクロ付加による複素環分子設計法の確立を目的とした。 1)N-(α-シリルベンジル)イミン類を非極性溶媒中で加熱すると、シリル基が窒素上に1,2-転位し1,3-双極子であるアゾメチンイリドが発生し、その立体選択的な分子内閉環によりN-シリル-cis-二置換アジリジンに変換できることを見い出した。 2)アセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)などの各種親双極子剤とのシクロ付加により、アゾメチンイリドの発生を証明するとともに、新規な複素環設計法としての有用性を明らかにした。従来Si-C結合をF^-イオンで切断する活性種の発生が多数知られているのに対し、本反応は中性条件下、脱シリル化試薬などのの添加剤を全く用いない独創的な方法論となるものである。 3)N-(α-シリルベンジル)アミド類とDMADなどの親双極子剤の共存下加熱するとシクロ付加が進行し、含窒素複素環が効率よく得られることを明らかにした。本反応によりシリル基の酸素原子上への1,4-転位によるα-シロキシアゾメチンイリド発生を初めて見い出した。 4)ビス(シリル)メチル誘導体がシリルメチル誘導体の等価体となることを明らかにし、本反応の分子設計上の適用範囲を大幅に拡張できた。 5)アゾメチンイリド中間体についてPM3法により分子軌道計算を行ない、分子内環化および分子間シクロ付加の高い立体選択性が、最も安定なZ,E-formの同旋的電子環状反応やシクロ付加に起因することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)