1993 Fiscal Year Annual Research Report
相選択基準を考慮した凝固過程のミクロノマクロモデリング
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05239201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 高照 東京大学, 工学部, 教授 (50011078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡根 利光 東京大学, 工学部, 助手 (80251362)
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Keywords | 相選択 / 包晶 / デンドライト / 一方向凝固 |
Research Abstract |
あらゆる競合する相・形態のなかで最も界面温度の高い相が成長するという基準を設け,平ら・セル・デンドライトの形態の先端温度を計算することで,広範な凝固条件に対応する相・組織選択を検討した。本年度は包晶反応系を中心に過冷凝固・一方向凝固の両条件下で解析した。 過冷凝固にはバルク過冷度ΔT、一方向凝固時には成長速度Vと温度勾配Gがそれぞれ与えられ,Trivedi,Lipton and Kurzモデルによって先端曲率半径R、先端温度T^*、先端濃度C_L^*を求めることができる。kineticな過冷と成長速度の間には線型な関係を仮定し,分配係数・液相線の勾配には速度依存性を考慮して求めた。 Vが0.1m/s程度までは溶質の拡散の寄与が大きく、それ以上の速度では熱拡散の寄与が大きい。また、固液界面での局所平衡からのずれを表すΔT_kは1m/s以上の速度になると大きくなる。 δ、γ相のデンドライトあるいはセル先端温度とバルク過冷度の関係を求めた。バルク過冷度が約20K以下ではδ相、20K以上ではγ相の先端温度が高いことが分かった。相選択基準に従うと、約20K前後で生成相がδからγに変わることが予想でき、この予測は実験結果とよく一致した。 一方向凝固において晶出する相および組織形態がどのように選択されるかをFe-Ni,Fe-Cr-Ni系に適用した。過冷度が小さい場合にはペクレ数P《1であり,溶質の拡散に起因する過冷度(ΔTc)はΔT_c〓ΩΔT_0kとなる。ここでΔT_0;凝固温度範囲,Ωは過飽和度でこの場合2P。故にΔT_c〓RVΔT_0klDである。先端曲率半径Rは‘stability criterion'によって決められ,解析的に求められる。 過冷凝固並びに一方向凝固時に相選択基準を考慮して相・組織がどのように決定されるかについて検討した。主にデンドライト成長理論をFe-Ni,Fe-Cr-Ni系に適用し,本モデルの有効性を確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Mizukami: "Initial stage of rapid solidification of 18-8 stainless steel" Materials Science and Engineering. A173. 363-366 (1993)
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[Publications] 梅田 高照: "包晶反応を有する材料の相と形態の選択" 日本金属学会第114回講演概要集. (1994)