1993 Fiscal Year Annual Research Report
一方向凝固過程における核生成、成長シミュレーション実験
Project/Area Number |
05239212
|
Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
栗林 一彦 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 教授 (70092195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲富 祐光 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (50249934)
佐藤 英一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (40178710)
|
Keywords | 一方向凝固 / その場観察 / 湿微干渉計 / ファセット界面 |
Research Abstract |
半導体、酸化物超伝導体等を融液から成長させる際にしばしば現われる鋸歯状の固液界面(ファセット的セル状界面)は、溶質元素の偏析あるいはセル構造の原因となることから、界面形態形成機構とその制御は近年多くの関心を集めてきた。代表者らは、これまでにファセット的界面を呈する透明有機結晶(ザロール、C_<13>H_<10>O_3)を試料に用い、光干渉計による固液界面前方の屈折率分布の測定から、ファセット界面は等温であること、またファセット凹部の液相中には逆温度〓配が形成されることを報告した。これは従来の「一方向凝固時の界面前方の温度〓配は変化しない」という仮定を根底から崩すものであり、Mullins-Sekerka理論に代表される界面安定性のクラリテリオンが適用できないことを意味する。本研究ではこれからの結果に基に光干渉法を応用したファセット界面前方の温度場、濃度場の可視化実験を行い、ファセット界面の形態安定性に関してM-S理論に代る新しいクラリテリオンの構築と高品質結晶育成法の確立を志向する。 ザロールの一方方向凝固において、固液界面前方の温度〓配は凝固の進行、特に、鋸歯状界面への移行に伴い急速に変化、逆転を示すようになり、増減を繰り返しながら不安定化へと移行した。不安定化の発生は、温度〓配は急速に減少し、ファセット周期との相関を示唆する結果となった。ファセット界面の形態維持機構が、界面の移動に伴って排出された溶質の堆積による界面温度の低下であるならば、ファセット低部は固相線温度、頂部は液相線で規定され、形態変化は頂部におけるtip splittingとなって現われる。本実験の範囲では、界面形態不安定化の起点はファセット凹部であり、決してtip splittingではなかった。ファセット界面は等温であり、界面前方では温度〓の逆転が生ずることと併 せて考えると、未だ定量的ではないが、界面形態不安定化の駆動力は、ファセット界面前方に出現する逆転した温度〓配自身と結論できるだろう。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] T.Yoshida: "In-situ Observaion of Paceted Cellular Array Growth in Transparent Organic Material" Proc.IUMRS-ICAM-93. (印刷中).
-
[Publications] Y.lnatomi: "Real-time Observation of Faceted Cellular Growth" Microgravity Q. 3. 93-96 (1993)
-
[Publications] Y.Inatomi: "In-situ Observation of Unidirectional Dissolution Proess in Organic Alloy under Micgravity" J.Jpn.Soc/Microgravity Appl. 10. 234-240 (1993)