1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05249213
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
金田 澄子 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助手 (60152815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山尾 文明 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (10158074)
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Keywords | 細胞周期 / ユビキチン活性化酵素 / 温度感受性変異株 / 形質転換 / ユビキチン結合酵素 / cdc2キナーゼ / リン酸化 |
Research Abstract |
ユビキチンシステムは細胞増殖、転写、修復、ストレス応答など多くの生命現象において重要な働きをしている。我々は、マウスFM3A細胞由来で、この一連の反応の最初を担うE1の温度感受性変異株を用い、ユビキチンシステムの細胞周期における役割について解析した。 同じ相補性群に属する11のE1変異株は、制限温度において停止する細胞周期上の点が異なり、ユビキチンシステムが細胞周期のG1、S、G2/Mの各点で機能していることが示唆された。ユビキチンシステムの多様な機能は、E1から次にユビキチンが転移されるE2が多分子種存在するファミリー蛋白質であるためと考えられ、E1上の変異点の違いにより影響を受けるE2が異なり、様々な表現型を示すものと思われる。実際、S期に停止する株に特異的にユビキチンの転移が低下するE2を見い出した。各変異株の変異点を同定したところ、1株を除いてすべてC末端側に存在しており、ここがE2の認識部位ではないかと推定される。 一方、マウスE1cDNAをこれら変異株に導入し構成的に発現させたところ、その形質転換効率は変異株により著しく異なり、制限温度下での停止点と強い相関関係が見られた。特に、形質転換効率が低くG2に停止する株では、形質転換株で著しく膨張したりDNA量の増加した細胞がみられ、E1が細胞周期でその活性が制御されていると考えられた。 又、E1(1058アミノ酸)のN末端より255アミノ酸を欠失させるcDNAは、S期での停止を解除することができたが、G2期での停止は解除することができなかった。E1のN末端側にはcdc2でG2/M期にリン酸化を受ける部位があることを見いだした。これらのことは、E1のリン酸化により細胞周期におけるユビキチン経路の機能分化が行なわれ厳密な制御が行なわれている可能性を示唆している。
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