1993 Fiscal Year Annual Research Report
非対称標識した脂質小胞を用いた小胞輸送経路での脂質の動態の解析
Project/Area Number |
05252201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 俊秀 東北大学, 理学部, 助教授 (60162004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 和夫 東北大学, 理学部, 教授 (80115394)
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Keywords | 小胞輸送 / 脂質輸送 / 膜融合 |
Research Abstract |
生体膜では脂質二重層の外層と内層で脂質は非対称に分布しており、一般に糖脂質やホスファチジルコリンはルーメン側(形質膜では外層)に、アミノ基を含むリン脂質であるホスファチジルエタノールアミンやホスファチジルセリンは細胞質側に分布している。小胞輸送は膜の出芽、輸送、融合という一連のステップの組合せであり、これらの反応におけるコートタンパク質の結合やオルガネラの認識はすべて脂質二重層の細胞質側での反応に依存していること、また脂質輸送タンパク質が細胞質に存在していることから細胞質側の脂質の動態に興味が持たれるが、細胞質側の脂質の動態はわかっていない。そこで平成5年度は細胞質側の脂質の動態を知るための実験系の開発を行い、インフルエンザウイルスの膜融合活性を有するタンパク質、ヘマグルチニンを高頻度に細胞表面に発現している3T3細胞を用いて、ヘマグルチニンレセプターである糖脂質依存的に蛍光標識脂質を含む脂質小胞を細胞に融合させることができるようになった。またニトロセルロースフィルターを用いて形質膜を透過性にしたMDCK細胞のゴルジ体に蛍光標識した脂質小胞を融合させ、形質膜への脂質の輸送を追跡する実験も可能になった。このような系で表側あるいは裏側だけを蛍光標識脂質で非体称標識した脂質小胞を細胞に導入しその動態を見る実験は現在進行中だが、膜の表側と裏側では脂質の動態は非常に異なっているという予備的な結果が得られている。平成6年度は平成5年度の研究結果を踏まえ、小胞輸送における脂質の動態を決めている細胞内因子の同定を試みる。このためにバクテリアのトキシンやニトロセルロースフィルターを用いて透過性にした細胞を調製し、蛍光標識脂質をプローブとして用い脂質の動態を制御している細胞質因子の同定を行う。また脂質輸送タンパク質の抗体を用い、動物細胞での脂質輸送タンパク質の小胞輸送と脂質の動態への影響を測定する。
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