1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05252216
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 健 名古屋大学, 農学部, 助手 (40222294)
|
Keywords | 液胞 / 蛋白質の局在化 / 仕分けシグナル / レセプター / クロスリンカー / ゴルジ装置 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
高等植物細胞における液胞は,動物細胞でのリソソーム様機能を持つのみならず,貯蔵タンパク質として知られる一連の蛋白質を液胞内に多量に蓄積することにより,アミノ酸源の貯蔵部位としても働くことが知られている.この液胞への蛋白質蓄積機構の解析の過程で,我々は,サツマイモ貯蔵タンパク質スポラミン前駆体N-末端プロペプチドが液胞への輸送シグナルとして機能すること,プロ型前駆体の形で粗面小胞体上で合成されたプロスポラミンはゴルジ装置で分泌系から仕分けされた後に液胞へと輸送され液胞内でプロ領域が切断除去されることにより成熟型スポラミンとして蓄積すること等を見出している.本研究では,プロスポラミン等を用い,液胞への蛋白質輸送系の分泌系からの仕分けに関わる構造体と仕分けに関わる分子の同定を行うことにより,蛋白質の植物液胞への輸送の分子機構を解明することを目的としている. 本年度は,上記の機構の解析のために,スポラミン前駆体の液胞へ輸送に関わる分子の検索を行った.in vitroで生育させたサツマイモ幼植物体の葉を6%庶糖溶液に浮かべて3日間インキュベートすると,サツマイモ塊根に匹敵する量のスポラミンの蓄積が観察される.この処理を22℃という低温で行うことにより,抗スポラミン抗体および抗プロペプチド抗体を用いた免疫ブロットでの解析の結果,プロ型スポラミン前駆体の蓄積も観察された.22℃で庶糖処理した葉を出発材料としてゴルジ装置に富む画分を調製したところ,この画分にプロスポラミンが濃縮される事を見出した.そこで,この画分にDSS,EGS等のクロスリンカーを作用させる事により,SDS-PAGEにより見かけの分子量53kDaに泳動されるスポラミンと他の蛋白質の複合体を特異的に検出することができた.クロスリンカーを作用させた膜画分をアルカリや高濃度の塩処理によりこの複合体は膜画分に回収されたことから,この複合体はプロスポラミンとゴルジ装置の約30kDaの膜蛋白質との複合体であり,この30kDaの膜蛋白質はスポラミン前駆体の液胞への仕分けにかかわる分子の侯補である事を見出した.
|