1993 Fiscal Year Annual Research Report
MODY型糖尿病のモデルマウス作製による発症機構の解析
Project/Area Number |
05253205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 純一 東京大学, 医学部(医), 客員教授 (10200156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 文 東京大学, 医学部(医), 寄付講座教員 (40136213)
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Keywords | グルコキナーゼ / アンチセンス / 血糖 / β細胞 |
Research Abstract |
NIDDMの患者にグルコキナーゼの遺伝子異常が発見され、膵β細胞でのグルコキナーゼの活性低下がインスリン分泌障害の原因ひいてはNIDDMの原因になっている可能性が示唆されている。そこで,膵β細胞でのグルコキナーゼ発現抑制が、生体のグルコースホメオターシスの維持にいかなる影響を与えるかを検討するため、膵β細胞グルコキナーゼ活性の低下したマウスモデルの作製を試みた。β細胞株MIN6よりグルコキナーゼの開始コドンを含む268 base pairのcDNA断片をRT-PCRにより増幅し、ヒトインスリンプロモーターの下流にインスリンおよびβ-グロブリンのイントロンをはさんでアンチセンス方向につないだ。このDNAコンストラクトをマウス受精卵にインジェクションして得られた40匹のマウスのゲノムをサザンブロットにより解析を行ったところ、数コピーから数十コピーの様々なコピー数のトランスジェニックマウスが得られていた。これらのうち2系統のマウスで任意に餌をとらせその後絶食した時の血糖値の時間経過を調べたところ、食後2時間ではnegative littermateで153および165mg/dlであるのに比べトランスジェニックマウスでは206および212mg/dlと高値を示していた。この差は4時間でさらに大きくなっていた。この結果は、アンチセンスmRNAの発現により耐糖能の低下をきたしたことを示していると考えられた。グルコキナーゼは、肝細胞と膵β細胞とで異なるプロモーターおよび第一エクソンが用いられて発現しているが現在までに報告されているグルコキナーゼの遺伝子異常は、第二エクソン以下の共通な領域内のものばかりである。これらの患者で肝細胞と膵β細胞のどちらの異常がよりNIDDMの病態の形成に関与しているかはっきりしていない。ここに紹介した成績は、膵β細胞のみのグルコキナーゼの異常でも耐糖能に異常を来し得ることを示唆している。
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