1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性ライソゾーム病の遺伝子異常と表現型に関する研究
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05253220
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 あけみ 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30145776)
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Keywords | 遺伝子解析 / GM_2-ガングリオシドーシス / Tay-Sachs病 / beta-hexosaminidase alpha subunit / 遺伝子病 / リソゾーム病 |
Research Abstract |
前々年度の本研究において、日本人Tay-Sachs病(beta-hexosaminidase subunit遺伝子の異常症)の変異対立遺伝子の80%を閉めるmajor mutation(イントロン5 acceptor splice siteの点変異によるスプライシング異常)について、本年度の始めに、その分子生物学的知見についてまとめ、論文発表した。 前年度より、日本人集団におけるこのmajor mutationの遺伝子頻度を、乾燥ロ紙血を用いてスクリーニングを始めた。前年度の大阪地方の検索に引き続き、今年度は、仙台地方および韓国における検索を行なった。現在は、沖縄地方の検索を行なっている。現在までの結果は、大阪5/688人、仙台2/356人、韓国0/390人の保因者頻度である。韓国において保因者が認められなかったことから、このmajor mutationは、日本において比較的新しい時代に発生した変異であると推測された。 さらに、日本人Tay-Sachs病のmajor mutation以外の変異対立遺伝子について解析を行なった。5つの遺伝子変異が明らかにされた。ひとつは、イントロン3のdonor splice siteの点変異によるスプライシング異常で、他の4つはミスセンス変異であった。これらは、1373番のGがAに変化して458番のシステインがチロジンに置換、1451番のTがCに変化して585番のロイシンがプロリンに置換、1510番のCがTに変化して504番のアルギニンがシステインに置換、1511番のGがAに変化して504番のアルギニンがヒスチジンに置換したものである。スプライシング変異と前2者のミスセンス変異は、新しい変異で、後2者のミスセンス変異は、他の人種でも報告がある。後2者のミスセンス変異は、変異のhot spotであるCpG配列の箇所に起こった変異であった。
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[Publications] Tanaka,A.,Sakazaki,H.et al.: "Molecular genetics of Tay-Sachs disease in Japan." J.Inher.Metab.Dis.(in press).
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[Publications] Tanaka,A.,Sakuraba,H.et al.: "The major mutation among Japanese patients with infantile Tay-Sachs disease:A G-to-T transversion at the acceptor site of intron 5 of the beta-hexosaminidase alpha gene." Biochem.Biophys.Res.Com.192. 539-546 (1993)
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[Publications] 田中あけみ: "Tay-Sachs病、Sandhoff病、Gaucher病" Clinical Neuroscience. (印刷中).
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[Publications] 田中あけみ: "Tay-Sachs病" 日本臨床. 51. 2281-2285 (1993)
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[Publications] 田中あけみ: "Tay-Sachs病" 臨床医. 19. 484-488 (1993)
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[Publications] 田中あけみ: "小児神経学アトラス" 診断と治療社(印刷中),
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[Publications] 田中あけみ: "遺伝子診断実践ガイド" 中該医学社(印刷中),