1993 Fiscal Year Annual Research Report
トウモロコシの転移因子Ac/Dsの異種高等植物への導入と転移
Project/Area Number |
05255210
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯田 滋 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30012777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 力 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (40190764)
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Keywords | トランスポゾン / 転移因子Ac / Ds / DNA再編成 / 非相同性組換え / 高等植物 / トランスジェニック植物 / 形質転換 / 植物バイオテクノロジー |
Research Abstract |
トウモロコシの転移因子Acは、その大きさが4.6kbで、自ら転移するのに必要な転移酵素遺伝子を持つ自律性因子である。一方、Dsは転移酸素遺伝子を欠失しているため自らは転移できず、Acの転移酵素がトランスに作用したときのみ転移することができる非自律性因子である。また、Ac/Dsはその挿入に際して挿入部位に8bpの標的重複を起こすことが知られている。 本年度は、イネに導入した転移因子DsのAc転移酵素による再転移機構の解析を行った。このため、Dsのみが染色体上に挿入されているトランスジェニックイネとAcの転移酵素遺伝子が挿入されているトランスジェニックイネとを交雑し得られたF1植物体の一個体よりDsの再挿入領域をクローン化してその構造を解析した。これまで、29個の独立したクローンを得たが、28クローンでDsの再挿入部位はもとの挿入部位とは異なる領域であった。一方、残りの1クローンは再転移を起こさずもとの部位に残っているものであった。このことはこのF1植物体でDsの体細胞転移が活発に起きてDsの挿入に関してキメラになっていることを示している。 次いで、これらDsの挿入部位を検討したところ多くのクローンでDsは、イネ染色体上のユニークな配列に再挿入されていることが明らかになった。また、Dsのイネ染色体への挿入部位の塩基配列を決定したところ、大部分のクローンで8bpの標的重複が認められ、イネにおけるDsの標的のコンセンサス配列を求めることができた。さらに興味深いことに、134bpの狭い領域内の異なる部位に挿入しているクローンが3例も見いだされたので、この領域はDsの挿入のホットスポットであると思われる。 これらの実験結果は、転移因子が染色体上のどのような構造を認識して転移再挿入するかという標的選択の問題に有用な知見を与えるとともに、有用遺伝子の単離法として注目されているトランスポゾンタッギング法を開発する上でも重要であると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Shimamoto: "Trans‐activation and stable integration of the maize transposable element Ds cotransfected with Ac transposase gene" Mol.Gen.Genet.239. 354-360 (1993)
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[Publications] 杉田耕一: "転移因子を利用した高等植物の染色体操作" 日本農芸化学会誌. 67. 716-719 (1993)
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[Publications] 飯田 滋: "高等植物における未知トランスポゾンの探索と既知トランスポゾンの異種植物への導入" 薬学研究の進歩. 9. 21-34 (1993)
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[Publications] 飯田 滋: "アサガオの花色とトランスポゾン" 化学と生物. 31. 492-494 (1993)
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[Publications] Y.Inagaki: "Isolation of a Suppressor‐Mutator/Enhancer‐like transposable element,Tpnl,from Japanese morning glory bearing variegated" The Plant Cell. (印刷中). (1994)
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[Publications] 飯田 滋: "絞り花アサガオから分離されたトランスポゾンによる遺伝子発現の調節" ファルマシア. (印刷中). (1994)