1993 Fiscal Year Annual Research Report
エンドセリン変換酵素の生化学的解析と血圧調節機構の研究
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05256208
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 定雄 千葉大学, 医学部, 教授 (40134225)
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Keywords | エンドセリンレセプター / 伏在静脈 / エンドセリン / 平滑筋 |
Research Abstract |
[目的]エンドセリンの血管収縮作用に関与する平滑筋細胞上の受容体は,従来はETAタイプであるとされていたが,最近ETB受容体を介する血管収縮反応も報告されている.我々は,伏在静脈平滑筋の収縮に関わるET受容体サブタイプの種類を明らかにするために,薬理学的解析を試みた. [方法]ウサギおよびヒト摘出伏在静脈の内皮除去リング標本の収縮反応を等尺性に記録して,ET受容体に対する数種のアゴニストおよびアンタゴニストの作用を検討した. [結果]ウサギ伏在静脈平滑筋に対して,ET-1,ET-3,IRL1620(ETBアゴニスト),サラフォトキシンS6cおよび[Glu^9]S6bは全て濃度依存性の収縮反応を生じ,これらはETAアンタゴニストのBQ-123では,全く抑制されなかった.ETA/ETBアンタゴニストであるPD142893は,IRL1620の濃度作用曲線を著明に右方へシフトさせたが,ET-1による収縮反応に対しては,全く抑制効果がみられなかった.ET-3,S6cおよび[Glu^9]S6bの濃度作用曲線は,PD142893によって,僅かに右方へシフトしたのみであり,アンタゴニスト濃度を上昇させてもそれ以上シフトしなかった.ヒト伏在静脈平滑筋に対しても,同様な結果を得たが,ウサギ標本とは異なり,ETBアゴニストが引き起こす最大張力は小さかった.[結論]ウサギおよびヒト伏在静脈平滑筋には,IRL1620およびPD142893をリガンドとする既知のETB受容体(ETB1)の他に,IRL1620およびPD142893に非感受性の別の受容体が存在することが示された.この新しい受容体は,BQ-123非感受性で,ET-1,ET-3,S6c等がほぼ同等の活性(EC50=約2×10^<-9>M)を示すETBグループに属する受容体(ETB2)であり,両受容体とも収縮反応に関与することが判明した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] O.Shinmi et al.: "Endothelin-2converting enzyme from human renal adenocarcinoma cells is a phosphoramidon-sensitive,membrane-bound metalloprotease." J.Cardiovasc.Pharmacol.22(Suppl 8). S61-S64 (1993)
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[Publications] 新見修 他: "エンドセリン変換酵素研究の動向" 最新医学. 48. 615-618 (1994)
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[Publications] 木村定雄 他: "血管平滑筋収縮-弛緩因子" 循環器専門医. 1. 93-102 (1993)