1993 Fiscal Year Annual Research Report
植物とランソウの共生の発達機構に関する比較生理学的研究
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05257210
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上田 英二 大阪府立大学, 附属研究所, 助手 (20160161)
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Keywords | アカウキクサ / 共生機構 / 共生ランソウ / glutamine synthetase / 発現制御 |
Research Abstract |
アカウキクサ・ランソウ共生系における共生ランソウのglutamine synthetaseの発現制御の様式を明らかにすることを目標に研究を行い、以下のことを明らかにした。 【.encircled1.】、アカウキクサ先端部及び成熟部より別々に単離したランソウ分画のglutamine synthetaseへの放射能の取り組みを調べたところ、先端部のランソウのglutamine synthetaseには、成熟部のそれに比較し高い値をしめした。このところ、及び、前年度既に行った実験結果(先端部の共生ランソウのglutamine synthetaseは、活性レベルでもタンパク質レベルでも、成熟部の共生ランソウのそれか比較し、高い値を示した。)から、アカウキサでは、特に成熟葉で、共生ランソウのglutamine synthetaseの合成をtranscriptionalなレベルで抑える機構が働いていると考えられる。 【.encircled2.】、glutamine synthetaseの合成を抑える機構を明らかにするため、抑制因子の検索を、(a)物質、(b)環境、の2つの面から調べた。 (a)、共生ランソウアカウキクサ成熟部及び先端部より別々に単離し数日間培養を行ったところ、共生ランソウを分裂させることができなかったが、高い放射能の取り込み能を維持することができた。この系を利用して、現在、glutamine synthaseを抑えるアカウキクサ側の物質因子を捜している。 (b)、構造的及び生理学的研究から、cavityの中心部は、外部ときわめて交換しにくいガスであり、共生ランソウはcavity周辺部の薄い粘液質の層に存在することがわかった。ガス組成の変化は、glutamine synthetaseの合成に影響を与える可能性があるので、そのガスの組成等の詳しい解析を行っている。(a)、(b)とも、抑制因子については、現在なお不明であり、更に研究が必要である。 また、他の植物-ランソウ共制系におけるglutamine synthetase発現の様式とアカウキクサの場合の比較を行い共生の発達機構に関する知見を得ようと試みたが、現段階では、まだ比較するデータが乏しく不可能であった。更に研究が必要であると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Kitoh.N.Shiomi and E.Uheda: "The groath and nitrogengixation of Azolla filiculoides Lam in polluted water." Aguatic Botany. 46. 129-139 (1993)
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[Publications] E.Uheda and S.Kitoh: "Rapid shedding of roots from Azolla filiculoides plants in response to inhibitors of respiration." Plant &cell Physiol.35. 37-43 (1994)