1993 Fiscal Year Annual Research Report
エイコサペンタエン酸誘導体の構造と栄養学的意義との関連性の検討
Project/Area Number |
05258202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水柿 道直 東北大学, 医学部・附属病院, 教授 (60004595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 隆則 東北大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20199003)
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / 3型PG / GC / MS / DELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto PGF_<1α> |
Research Abstract |
エイコサペンタエン酸(EPA)は生体内で代謝され、種々の3型プロスタグランジン(PG)に変換されるが、なかでもPGI_3は抗血小板凝集作用を有するため、その血栓症の発症との関連性が示唆されている。そこで、PGI_3の指標となりうる尿中代謝産物DELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>の微量定量法の開発を目的として、まず類縁化合物である2型の2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>の誘導体化法とそのGC/SIMを用いた微量定量法の確立を行った。さらに、生物変換法を用いてDELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>標準品の調製を行った。 1.2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>の測定法の開発 測定試料に[^2H4]-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>(IS)を添加し、酸性条件下、Chem Elut、Sep Pak tC18およびKieselgel60を用いて分離・精製後、メチルオキシム(MO)-メチルエステル(ME)-ジメチルイソプロピルシリル(DMIPS)エーテル誘導体に導いた。[M-43]^+イオンをモニタリングイオンとしてGC/SIMを実施し、それぞれのピーク面積比を用いて定量した。その結果、(1)本法は、S/N比高くモニタリングピークの検出が可能であり、100pg-10ngの間で良好な直線性を与えた。同法による添加回収率は97-108%であり、尿中の定量に有用であることが示された。(2)健常人10人の尿中2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>含量は84.0±47.7pg/mg creatinineであった。また、糖尿病患者10人の尿中2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>含量は47.0±11.6pg/mg creatinineであり健常人より有意に低く、糖尿病患者において、抗血小板凝集作用を有するプロスタサイクリン含量が低いことが示唆された。 2.DELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>標品の調製 牛大動脈7本調製した内皮細胞画分と、EPA(10mg)を反応させ、HPLCにより分取すると、約50mgのDELTA^<17>-6-keto-PGF_<1α>が得られた。つぎに、Wilgram等の方法に準じて調製したラット肝ミトコンドリア画分約100mgと50mgのDELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>とを反応させ、HPLCにより分取すると、約10mgのDELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>標品が調製された。構造は、GC/MSにて確認された。本標品はDELTA^<17>-2,3-dinor-6-keto-PGF_<1α>の分離カラム上の挙動解析や内部標準物質の調製に重要であると考えられた。
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