1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05258210
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牧野 志雄 名古屋大学, 農学部, 教授 (80000842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 一人 名古屋大学, 農学部, 助手 (00242850)
|
Keywords | 大豆グリシニン / 酸性サブユニット / インスリン作用増強効果 / 細胞膜安定化 / 細胞増殖促進 |
Research Abstract |
大豆グリシニン酸性サブユニットのもつインスリン作用増強効果に焦点を当て、インスリンに対する細胞(主に3T3-L1細胞を使用)の受容と応答に及ぼす酸性サブユニットの修飾機構の研究を通して大豆タンパク質の潜在的生理機能の解明とその応用への展望を拓くことを目的とした。作用既知の薬剤の効果と比較することにより、酸性サブユニットの細胞への作用部位を検討した。酸性サブユニットおよびそのトリプシン分解物は糖輸送・脂肪合成の促進・脂肪分解の抑制等のインスリンの関与する細胞応答を促進した。酸性サブユニットのキモトリプシン分解物はインスリン作用を増強しなかった。酸性サブユニットはバシトラシンと類似の効果を示し、細胞表面にて作用している事が示唆された。この酸性サブユニットの作用が如何なる機構によるものかを種々検討した。細胞毒性を持つ色素トリパンブルーにより3T3-L1細胞は5分で損傷をうけたが、酸性サブユニットまたはそのトリプシン分解物の共存下では、抗酸化作用をもつアスコルビン酸が示したと同様に、20分間にわたりトリパンブルーに対し抵抗性を示した。さらに、本タンパク質は試験管内でミトコンドリア内膜を傷害から保護する効果をもつことも明らかとなった。これらの事実はグリシニン酸性サブユニットは細胞膜を安定化する機能を有している事を示している。本タンパク質は強力なラジカル消去能を示し、そのことが膜安定化をもたらすものと考えられた。さらに、本タンパク質存在下で3T3-L1細胞を培養したとき、細胞の増殖速度は著しく増大した。この様に、大豆グリシニン酸性サブユニットは細胞膜を安定化し、その二次的効果としてインスリン作用を増強するものと推定された。
|
-
[Publications] Ishikawa,Yuji: "Insulin-modulating action of glycinin acidic subunit A_<la> in isolated adipocytes mimicking that of bacitracin" Biosci.Biotech.Biochem.57. 1931-1932 (1993)
-
[Publications] Ishikawa,Yuji: "Stimulation of insulin-dependent glucose transport in isolated rat adipocytes by trypsinized soybean glycinin acidic subunit" Biosci.Biotech.Biochem.58. 590-591 (1994)
-
[Publications] Ohkura,kazuto: "Effects of glycinin acidic A_<la> subunit on insulin-involved cellular metabolism in rat adipocytes and 3T3-L1 cells" Proceedings for the 6th annual meeting of Japanese association for animal cell technology.(印刷中). (1994)