1993 Fiscal Year Annual Research Report
高齢サル脳における老年変化の超微形態的・免疫組織学的研究
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05261102
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
中野 今治 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 副参事研究員 (40092423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 浩四郎 東京都精神医学総合研究所, 神経病理, 副所長 (90073064)
森 啓 東京都神経科学総合研究所, 分子生物, 副参事研究員 (10159189)
林 基治 京都大学霊長類研究所, 生理, 助教授 (10027500)
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Keywords | beta蛋白 / アミロイド / 老人斑 / 高齢サル脳 / 超微形態 / アストログリア / paired helical filament |
Research Abstract |
今回の検索でアミロイド或いはプレアミロイドを殆ど伴わない、孤発散在性の突起変性や緩やかに集簇した変性突起が観察され、アミロイド沈着は突起変性の必要条件ではないと考えられた。原子老人斑(PP)に関連した突起の変化には、種々の異常微細構造を含有する腫大性変化と、内部が空虚になり細胞膜の走行が不規則になる2種類が見られた。空虚な突起の集簇部分にはプレアミロイドとみなし得る物質が少量細胞外腔に貯留していたが、線維性構造は不鮮明であり、アミロイド線維束の形成は見られなかった。また、この様な少量のアミロイド沈着に接する突起にcoated pitsやcoated vesicleが増加している様な像は認められなかった。肝、腎のamyloidosisにおいてはアミロイド線維束の機械的な圧迫に拠ると思われる陥入が細胞膜に生ずるが、その細胞膜の走行は不規則になることはない。サルPPにおけるプレアミロイドの沈着は量も少なく、線維束も形成していないことを考えると、この部分の突起の異常はプレアミロイドの沈着に先行して生じた可能性が強い。一方、PP内部には時に神経細胞体や太い樹上突起が取り込まれていたが、これらには超微形態的に明らかな変化は見られなかった。以上の観察は、「アミロイドは神経細胞毒性を有し、その沈着によって神経細胞要素が変性・消滅する」との仮説とは符合しないと思われた。 一方、本年度はアルツハイマー型痴呆患者9例の海馬を電顕検索し、3例に於いて神経原線維変化の構成要素と同じpaired helical filamentや staright tubuleをアストログリア内に見出した。この3例はいずれも10年以上の経過を有しており、アストログリア内の異常線維形成は本疾患の長期経過と関連している可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakano i,Hayashi M,Fujisawa K,Mori H: "Electronmicroscopic observation of senile plaques(SPs)in aged non-human primates." J.Neuropathol Exp Neurol. 52. 264 (1993)
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[Publications] 中野今治: "アストログリア内のタウ蛋白陽性tangle" 老化と疾患. 6. 1647-51 (1993)