1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌のグループ-1-イントロンとそのORFの構造・機能と進化
Project/Area Number |
05265203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 教授 (80091908)
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Keywords | 細胞性粘菌 / グループ1イントロン / self-splicing / DNA endonuclease / RNA maturase / ミトコンドリア |
Research Abstract |
細胞性粘菌ミトコンドリアのCOXI遺伝子中には、すくなくとも3個のgroup-1-intronとORFが3個存在しているが、この3個のORFを大腸菌の発現ベクターpQEに組み込んで、大腸菌内で発現させたところ、ORF1だけが大腸菌の生育を阻害したので、このORFはイントロンのmobilityに関与るDNA endonucleaseである可能性が出てきた。そこで、この発現ベクターの中にイントロンのhoming site(group-1-intronのDNA-endonucleaseの切断配列)も同時に組込み、ORFを大腸菌内で発現させてみたが、このhoming siteは切断されなかった。おそらく、認識配列が変化してしまったものと考えられる。そこで、このタンパク質を大腸菌内で発現させた後、切断されているであろう大腸菌のゲノムDNAをパルスフィールドゲル電気泳動で分析したところ、大腸菌のゲノムが分解されて、約50Kbの付近にスメアとして検出された。この結果は、ORF1がDNA endonuclease活性を持つことを示している。 細胞性粘菌(AX3株)ミトコンドリアのlarge rRNA遺伝子中のgroup-1-intronは、in vitroでself-splicingする。5'側と3'側のエクソンがself-splicingに影響するか否かを調べた。結果は、5'エクソン(約500NT)は80%も反応を阻害した。3'エクソン(約500NT)は70%も促進した。そこで、3'エクソンの部分をさらに削りこんでしらべたところ、80NT存在すれば促進作用が残存しており、その部分は特徴的なステム構造を形成していた。また、このintron中には、遺伝子としてのORFは認められないが、約10アミノ酸程度にわたって酵母のRNA maturaseに似ていた。そこで、数種の他の細胞性粘菌の同じ領域を調べたところ、AC4株にも同じような配列を見つけた。また、すでに報告されている、この遺伝子のintronをコンピューターで解析したところ、同じようなケースを1つ見つけた。この結果は、現在intron中に意味のあるORFが存在しないものでも、もともとは機能のあるORFが存在していたものが、次第に機能を失って消失してしまったものと考えられる。
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