1993 Fiscal Year Annual Research Report
核タンパク質の核内移行を阻害する抗体を用いた細胞増殖シグナル伝達因子の解析
Project/Area Number |
05269214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 悦啓 大阪大学, 医学部, 教授 (80191667)
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Keywords | 核局在化シグナル / ストレス蛋白質 / GTP結合蛋白質 / 細胞周期 / シグナル伝達 / 核蛋白質輸送 / 細胞融合 |
Research Abstract |
これまでに本研究者は、ストレスタンパク質の1つであるhsc70が核タンパク質の核内移行に必要であることを証明してきたが、本研究において、hsc70以外に核タンパク質輸送に必要と考えられる因子の解析に精力を注いだ。セミインタクト細胞in vitro系を用いて重要性が示唆されている、低分子量GTP結合タンパク質であるRan/TC4(主として核内に存在するGタンパク質として同定されたもの)に注目した。ハムスターの細胞株であるBHK細胞の温度感受性突然変異株であるtsBN2細胞(九州大学の西本が樹立。Ran/TC4に働きかけ、GDP結合型をGTP結合型に変換させるように働くタンパク質であるRCC1に変異がある。)を利用した。この細胞を非許容温度下で培養を続けると、核タンパク質の輸送能が低下していくことが明かとなり、RCC1-Ran/TC4系が細胞内で核タンパク質の輸送を制御していることをin vivo系で初めて証明した。さらに、tsBN2細胞と野生型のBHK細胞をセンダイウィルスを用いて融合させてから、非許容温度下での核タンパク質の輸送能を解析したところ、融合直後では、tsBN2細胞の核には核タンパク質の輸送は阻害されるが、野生型のBHK細胞の核への核タンパク質の輸送はほとんど正常通りおこった。このことから、RCC1-Ran/TC4系が核、おそらく核膜のレベルで核タンパク質の輸送を制御していることが示唆される。また、融合後しばらくすると、tsBN2細胞の核ばかりでなくBHK細胞の核もまた核タンパク質の輸送が起こらなくなってくることから、RCC1-Ran/TC4系が細胞質から何らかの阻害的作用をすることが示唆され、RCC1-Ran/TC4系の複雑な制御機構の存在が明かとなった。このような制御系が実際に細胞周期の制御にも働いている可能性は大きく、細胞周期や細胞増殖の研究に与える影響は大きいと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yumiko Okuno: "70-KDa heat-shock cognate protein colocalizes with karyophilic proteins into the nucleus during their transport in vitro." Experimental Cell Research. 206. 134-142 (1993)
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[Publications] Keiko Kato: "Use of the hemagglutinating virus of Japan(HVJ)-liposome method for analysis of infiltrating lymphocytes induced by hepatitis B virus gene expression in liver tissue." Biochimica et Biophysica Acta. 1182. 283-290 (1993)
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[Publications] Yosuke Matsuoka: "Exogenous histone H1 injection into mitotic cells disrupts synchronous progression of mitotic events by delaying chromosome decondensation." Journal of Cell Science.(in press).
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[Publications] 米田悦啓: "核タンパク質輸送の分子メカニズム" 細胞(ニュー・サイエンス社). 25. 390-395 (1993)
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[Publications] Yoshihiro Yoneda: "Methods in Enzymology(vol.221)" Academic Press,Inc., 462 (1993)