1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05271101
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宇井 理生 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 所長 (50001037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 義美 大阪大学, 医学部, 教授 (60093514)
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
野澤 義則 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021362)
堅田 利明 東京大学, 薬学部, 教授 (10088859)
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Keywords | 3量体G蛋白質 / Ras蛋白質ファミリー / 細胞増殖因子 / PI-3-キナーゼ / チロシンキナーゼ / Gβγサブユニット / ワ-トマニン / 細胞膜受容体 |
Research Abstract |
重点領域研究「情報転換因子としてのGTP結合蛋白質」研究班はGTP結合蛋白質を構成する2大スーパーファミリー、3重体G蛋白質と低分子量G蛋白質をそれぞれ対象とするI、II班より構成されている。この2班を総括する総括班の研究上の目的は、3重体Gと低分子量Gとの両方にまたがる(または両者間のクロストークとしての)細胞内情報伝達系を解析することである。すなわち、形質膜を7回貫通する一本鎖ペプチドという構造上の特徴を有する受容体に共役する3量体Gは、一般に細胞内へcAMP、IP_3、DAG、Ga^<2+>など低分子の情報物質を介して情報を伝える。それに対し、1回貫通型の細胞増殖・接着因子受容体は蛋白質のチロシン残基リン酸化を介する蛋白質の会合を通じて情報を伝えるが、このカスケードの中心でRasを代表とする低分子量Gが機能している。ホスファチジルイノシトール(PI)-3-キナーゼは元来、後者の情報伝達系の重要なメンバーとして知られていたが、新たに開発したこの酵素の特異的阻害薬ワ-トマニンが好中球において走化性ペプチド受容体〜3量体Gを介する活性酸素生成を選択的に抑えることから、PI-3-キナーゼが3量体Gからも情報を受け取ることが明らかになった。すなわちPI-3-キナーゼは両情報伝達系の接点に存在する。これが、総括班の初年度の成果の1つであった。ひきつづき第2年度では、3量体Gが直接PI-3-キナーゼを活性化する可能性が検討された。当初は新しいPI-3-キナーゼのアイソフォームがGβγによって活性化されると予想したが、当該年度の成果として実際には、従来からリン酸化されたチロシン(PY)を介して活性化されることが知られていた同じPI-3-キナーゼ分子が、PYとGβγによって相乗的に活性化されることが明らかになった。さらに、情報伝達カスケードにおけるPI-3-キナーゼの新しい「上流」としての抗体受容体や、「下流」としての細胞骨格系が、ワ-トマニンを用いて同定されるに至っている。また、PI-3-キナーゼの直ぐ上流の部位がcAMP依存性プロテインキナーゼによって抑制されるという知見も得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Misawa, H., H. Ueda, T. Katada, M. Ui, and M. Satoh: "A subtype of opioid kappa-receptor is coupled to inhibition of Gil-mediated phospholipase C activity in the guinea pig cerebellum." FEBS Lett.361. 106-110 (1995)
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[Publications] Ui, M., T. Okada, K. Hazeki, and O. Hazeki: "Wortmannin as a unique probe for an intracellular signalling protein, phosphoinositide 3-kinase." Trends Biochem. Sci.20. 303-307 (1995)
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[Publications] Ahmed, M. U., K. Hazeki, O. Hazeki, T. Katada, and M. Ui: "Cyclic AMP-increasing agents interfere with chemoattractant-induced respiratory burst in neutrophils as a result of the inhibition of phosphatidylinositol 3-kinase rather than receptor-operated Ca^<2+> influx." J. Biol. Chem.270. 23816-23822 (1995)
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[Publications] Sasaki, T., K. Hazeki, O. Hazeki, M. Ui, and T. Katada: "Permissive effect of ceramide on growth factor-induced cell proliferation." Biochem. J.313. 829-834 (1995)
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[Publications] Matsuo, T., K. Hazeki, O. Hazeki, T. Katada and M. Ui: "Activation of phosphatidylinositol 3-kinase by concanavalin A through dual signaling pathways, G protein-coupled and phos photyrosine-related, and an essential role of the G protein-coupled signals for the lectin-induced respiratory burst in hu man monocytic THP-1 cells." Biochem. J.(in press). (1996)
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[Publications] Matsuo, T., K. Hazeki, O. Hazeki, T. Katada and M. Ui:"Specific association of phosphatidylinositol 3-kinase with the protooncogene product Cbl in Fcγ receptor signaling." FEBS Lett.(in press). (1996)
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[Publications] 宇井理生(編著): "廣川ニューロサイエンス 情報変換物質-G蛋白質" 廣川書店, 166 (1995)
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[Publications] 宇井理生(編著): "バイオマニュアルUPシリーズ シグナル伝達実験法" 羊土社, 267 (1996)