1993 Fiscal Year Annual Research Report
脂質修飾された視細胞G蛋白質による光情報変換機構の解析
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05271211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 教養学部, 助教授 (80165258)
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Keywords | 光情報伝達 / 視細胞 / 光受容蛋白質 / G蛋白質 / トランスデューシン / 脂質修飾 / ファルネシル化 / メチル化 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を進め、以下の知見を得た。 1.ウシ視細胞のG蛋白質トランスデューシン(Tαβγ)のαサブユニット(Tα)のN末端には四種類の脂肪酸が結合している。このうち不飽和脂肪酸C14:1およびC14:2の構造を決定するため、各種異性体を化学合成して天然物と比較解析した結果、それぞれ5-cisおよび5-cis、8-cisであることが判明した。この珍しい脂肪酸修飾の生理的意味を知るため、TαのN末端領域に対応する脂肪酸付加ペプチドを合成し、Tαβγに対する効果を調べた。その結果、脂肪酸の違いによってTβγに対するTαの親和性が異なる可能性が示唆された。 2.TγのC末端Cys残基はS-ファルネシル化され、α-カルボキシル基はメチル化されている。このメチル化の役割を知るために、メチル化型Tβγと脱メチル型Tβγを分離した。この両者の機能を比較した結果、Tγのメチル化は、ファルネシル化と相加的にTαとTβγの間の相互作用を増強し、受容体-G蛋白質間の情報伝達を加速することがわかった。また、Tγのメチル化は不可逆であり、生体内でTγはほぼ完全にメチル化されていることが示唆された。 3.桿体と錐体の生理機能の違いが、光受容体のレベルでどのように説明できるかを調べるため、ニワトリ網膜からロドプシンと緑錐体光受容体を精製した。両者の光反応過程を解析した結果、生理活性をもつメタII中間体の生成・崩壊の時定数に顕著な違いがあることを見出した。現在、さらに定量的な解析を行っている段階である。 4.桿体Tαと錐体TαのcDNA塩基配列に基づいて、これらを特異的に認識するペプチド抗体を作成した。これらの抗体を用いて生化学的、免疫組織化学的検討を行った結果、色感受性の異なる四種類のニワトリ錐体は、共通(42kDa)のG蛋白質αサブユニットをもっていることが示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yoshitaka Fukada: "Effects of carboxyl methylation of photoreceptor G protein γ-subunit in visual transduction." J.Biol.Chem.in press. (1994)
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[Publications] Hiroko Masuda: "Visual pigments in the pineal complex of the Japanese quail,Japanese grass lizard and bullfrog:Immunocytochemistry and HPLC analysis." Tissue & Cell. in press. (1994)
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[Publications] Yoshinori Shichida: "Nanosecond laser photolysis of iodopsin,a chicken red-sensitive cone visual pigment." Biochemistry. 32. 10832-10838 (1993)
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[Publications] Koichi Kokame: "Identification of the α-subunits of rod and cone transducin in chicken photoreceptor cells." Exp.Eye Res.57. 135-140 (1993)
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[Publications] Tomiko Asano: "Purification of four forms of the βγ subunit complex of G proteins containing different γ subunits." J.Biol.Chem.268. 20512-20519 (1993)
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[Publications] Kimihiko Kameyama: "Activation by G protein βγ subunits of β-adrenergic and muscarinic receptor kinase." J.Biol.Chem.268. 7753-7758 (1993)
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[Publications] Yoshitaka Fukada: "Methods in Enzymology:“Lipid Modifications of Proteins"(Casey,P.J.& Buss,J.E.,eds.)担当項名:Prenylation and carboxyl methylation of G protein γ subunit." Academic Press(in press), (1994)
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[Publications] Yoshitaka Fukada: "“Frontiers of Photobiology"(A.Shima et al.,eds.)担当項名:Roles of lipids linked to α-and γ-subunits of photoreceptor G protein." Elsevier, 6 (1993)