1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05272205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善本 隆之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80202406)
加藤 琢磨 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60224515)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / T細胞亜集団 / 第二シグナル / IL-12 / IL-2受容体 |
Research Abstract |
本研究の目的はヘルパーT細胞の亜集団Th1とTh2の分化増殖のシグナルの相違を分子レベルで明らかにし、これを利用してこれら亜集団の活性化を調節し、免疫制御を行う方策を求めることにある。ヘルパーT細胞の活性化には抗原提供細胞由来の第二シグナルが必要であるが、Th1とTh2細胞では全く異なる第二シグナルを要求することが本研究で明らかになった。これらは共にサイトカインであり、Th2細胞にはIL-1が、Th1には抗原提供細胞-T細胞反応によって産生されるサイトカインがそれぞれ第二シグナルとして作用する。後者をわれわれはIL-2RIFと呼んだが、IL-2RIFは最近cDNAがクローニングされたIL-12と同一の物質であることが判明し、IL-12(IL-2RIF)は抗原受容体刺激を受けたT細胞にIL-2と相乗的に作用してIL-2受容体の発現を促し、IL-2依存性増殖を起こさせる活性があることが分かった。ただし、IL-12にはIL-2産生を増強する活性はない。さらに、Th2細胞にはIL-1が同様の活性をもつことも分かった。すなわち、ヘルパーT細胞の亜集団の決定は抗原提供細胞がどちらのサイトカインを分泌するかによって行われる可能性が高いことが本研究で分かった。活性化に要する第二シグナルが異なるのであればTh1、Th2の間には抗原受容体を介するシグナルにも両細胞の間には差異がある可能性がある。そこで、刺激伝達系の解析を行った結果、Th2はTh1とは全く異なる伝達系が使われており、Th2ではTh1のIL-2産生に主要な役割を果たすイノシトール代謝、チロシン燐酸化反応も重要な意味を持たず、両細胞に共通しているのは細胞外カルシウムの流入のみであることが分かった。 以上の様に本研究ではヘルパーT細胞亜集団Th1、Th2の分裂増殖機構の差異が明らかになり、免疫反応の様式を決めると思われるこれら亜集団の分化機構を解析する重要な手がかりを掴んだ。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sumiko Taira: "Differential requirement for humoral factors for IL-2R expression of murine T cell subsets,Th1,Th2 and CD8 Th clones." Cellular Immunology. 147. 41-50 (1993)
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[Publications] Toshiki Tamura: "Difference in signal transduction pathway for IL-2 and IL-4 production in T helper 1 and 2 clones in response to anti-CD3" Journal of Immunology. 151. 6051-6061 (1993)
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[Publications] Takuma Kato: "Mechanisms of T cell contact dependent B cell activation" Journal of Immunology. (in press).
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[Publications] Kazuhiko Nakamachi: "Enhancement of B cell function as antigen presenting cell during interplay with Th cells." Immunobiology. (in press).