1993 Fiscal Year Annual Research Report
マウス神経系初期発生におけるPOU転写調節因子の役割の解析
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05275209
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
野田 哲生 財団法人癌研究曾, 癌研究所・細胞生物部, 部長 (10183550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 成人 財団法人癌研究曾, 癌研究所・細胞生物部, 特別研究員ーPD
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Keywords | ジーンターゲィング / POU転写調節因子 / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子発現の調節を行う各種転写調節因子のうちのPOU転写調節因子群が、哺乳類の神経系の発生において、どのような役割を果しているのかを知ることを目的としている。マウス胚由来未分化細胞(ES細胞)を用いてのジーンタゲティング法により染色体上のこのPOU転写調節因子群の遺伝子が欠損したマウスを作成し、このマウスを解析することによりPOU転写調節因子群の機能を知る。以下が本年度の成果のまとめである。 <Bm6転写因子>POU転写調節因子の中でもBm6遺伝子は神経系に特異的に発現している遺伝子の1つである。特にその発現パターンは興味深く、発生時の神経管では殆どの神経細胞に発現が見られ、やがて神経系が成熟するに従って中枢神経系の数カ所のみで発現するようになる。我々はこのBm6欠損マウスを作成しその解析を行った。その結果、Bm6遺伝子産物を欠損しているマウスは生まれては来ることが判明し、このBm6遺伝子は発生においては必須ではないと考えられた。しかし、このBm6欠損変異ホモ接合体は全て生後10日以内に死亡し、その組織学的な解析からはこれらの変異マウスでは視床下部の構造に異常があることが判明した。このことはBm6遺伝子が視床下部の発達に必須であることを強く示唆している。 <Bm5転写因子>Bm5転写因子は、そのDNA結合ドメインの構造及び発現パターンが極めてBm6遺伝子に類似している。我々は本年度、Bm5欠損マウスの作成に成功した。Bm5ターゲティング・ベクターをES細胞内に導入し、PCR法にてBm5遺伝子変異が導入された10個のES細胞クローンを同定した。これらの変異ES細胞から、ブラストシスト内注入法により変異マウスを作成した。現在その解析を行っている。
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