1993 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティング法を用いたIL-6関連遺伝子の生体内での役割りの解析
Project/Area Number |
05275211
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
吉田 進昭 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 免疫部門, 部長 (10250341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田賀 哲也 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (40192629)
末松 佐知子 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 研究員 (50250345)
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Keywords | ジーンターゲティング / 相同的組換え / サイトカイン / gp130 / インターロイキン6 / NF-IL6 / マクロファージ / 細胞内寄生細菌 |
Research Abstract |
ジーンターゲティング法によりIL-6のシグナル伝達に関与する2つの分子gp130及び核内転写因子NF-IL6欠損マウスを作製、解析した。 1.gp130 IL-6、LIF、OM、CNTF、IL-11の共通のシグナル伝達分子であるgp130を欠損するマウスは、胚の子宮内着床には異常をきたさなかったが胎生後期において致死である。胎生11.5日以降、gp130欠損マウスの生存胎児の割合は減少し、胎生18.5日以降は生存できないことが判明した。また生存しているマウスも発育障害を示し、gp130が発生期において重要な機能を担っていることがわかる。これまで4例において、心筋の発達に障害をきたし、心室壁が薄くなっていたことから、心筋細胞分化のシグナル伝達にもgp130が関与していることが示唆された。今後さらなる組織異常の解析を続ける他、心筋細胞の初期培養、血液系細胞の分化等を詳細に解析していく。 2.NF-IL6 NF-IL6は、急性炎症において活性化される多くのサイトカインや急性期蛋白遺伝子の転写に関与し、マクロファージの分化や活性化に重要な因子である。NF-IL6欠損マウスは生存可能であるが、やや小さくこれまでのところ不妊である可能性が大きい。また、細胞内寄生細菌であるリステリアを少量感染させることにより全例死亡する。このマウスのマクロファージはリステリアを貧食した後、ファゴゾーム内に幽閉しておくことに障害があり、マクロファージの活性化において重要な役割を担っていることが示唆された。今後このマウスの組織異常を検討すると共に急性炎症反応におけるサイトカイン誘導の異常の有無、免疫応答等を解析していく。
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