1993 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン生合成の調節機構:ACC合成酵素の分子型と反応機構依存性不活性化反応
Project/Area Number |
05276202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 茂 東北大学, 農学部, 助教授 (40108428)
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Keywords | エチレン / ACC合成酵素 / 不活性化反応 / トマト突然変異体 |
Research Abstract |
1.トマト緑葉と緑熟果実のACC合成酵素の反応機構依存性不活性化反応: トマトの緑葉および緑熟果実からACC合成酵素を調製し,反応機構依存性不活性化反応(MBI)の半減期を求め約30分の値を得た.この値は,トマト緑葉切片や緑熟果肉組織で見られていた同酵素活性の減少の半減期と一致した.したがって,トマト緑色組織においても酵素活性の減少がMBIが初発反応として働いて起こることを明らかにできた.また,トマトの赤熟果実由来の酵素の半減期が1〜3hrで,緑色組織由来の酵素の半減期が0.5hrであることから,トマトのACC合成酵素のアイソザイム間には,MBIに対する感受性に大きな差があることを明らかにした. 2.トマト追熟遅延突然変異体Nr-2果実のACC合成酵素: Nr-2突然変異は1番染色体上のLE-ACS2遺伝子が変異し酵素の寿命が短かい二量体になって起こることを仮定し,ACC合成酵素の分子型を検討した.Nr-2果実から調製したACC合成酵素は50kDaの分子量をもつ単量体であることがわかり,この仮説は正しくないことが示された.一方,Nr-2植物体の形態観察から,この変異体ではアブシジン酸(ABA)の含量が低下していることを推定し,トマト果実の追熟開始反応におけるABAの関与の可能性を明らかにした. 3.ACC合成酵素のターンオーバー: ACC合成酵素のトマト細胞中での二量体から単量体への変換と,不活性化された酵素の分解機構の研究のためには同酵素の抗体が必要である.現在,抗原として使うACC合成酵素の生産をcDNAで形質転換した大腸菌を用いて行っている.
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