1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05278214
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 農学部, 助手 (40206652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳津 広志 東京大学, 農学部, 助教授 (70177301)
|
Keywords | 窒素固定 / 根粒 / マメ科植物 / 宿主特異性 / 茎粒菌 |
Research Abstract |
本年度の成果 a)茎粒菌の茎粒形成遺伝子の分離 接種系統として育種する予定である茎粒菌(Azorhizobium caulinodans)の基準株であるORS571株を用い、根粒形成遺伝子群の分離を試みた。方法は、第一に茎粒菌にTn5を接合伝達で導入し、ミュータントを作製し、これらより接種試験で根粒形成に異常の生じるものを選抜した。接種試験は無菌植物を試験管の中で発芽させ、1週後に接種し、1カ月の間根粒の着生状況を観察して判断した。なお、接種は再現性を見るため、2回ないし3回繰り返し行った。結果、分離された260株のミュータントの内で茎粒形成に異常の見られるものは約10株が分離された。これらの内訳は茎粒形成遅延株1株、茎部の側根の異常な成長の見られる株2株、茎粒は形成するが根粒は形成しないもの5-6株であった。ミュータントによる分離とは別に、DNAの相同性により分離することも試みた。ダイズ根粒菌およびアルファルファ根粒菌はその根粒形成遺伝子群がよく研究されている。茎粒菌はこれらとは大きく系統の異なるプロテオバクテリアであるが、DNAデータベースから判断すると一部の根粒形成遺伝子には3者で共通性が見られると予想された。そこで、まずnodM相同部分の分離をnodMプローブを用いて行った。結果、相同部分を含むEcoRI4.7Kb断片が分離され、その約半分の塩基配列を決定した。 b)植物側根粒形成遺伝子群の分離 マメ科植物の根粒形成遺伝子を分離する方法としてタギングが最も有効な方法と考えられた。そこで、まずダイズ、ミヤコグサ、アルファルファ、クローバー、エビスグサの複数の品種を用い、組織片からの芽の分化能を調べた。調べたほとんどの植物で芽の分化はほとんど観察されなかった。一部、ダイズでは子葉から低い頻度で発芽が見られ、アルファルファの一部の品種でも茎から分化が見られた。以上の結果、植物体の大きさ等を考え、アルファルファをタギングの対象とすることが最もよいと判断した。 c)茎粒形成の植物の成長に対する影響 茎粒形成は、植物の栄養吸収にどのような影響を与えるかをリン吸収に焦点を絞って試験した。リン酸カルシウムをリン源として栽培すると、宿主であるセスバニアは成長が非常に悪くなる。そこで、このような条件で栽培した植物体に茎粒を接種し、成長を対照と比較した。結果、茎粒接種植物は対照と比較してほぼ同等の成長を示した。この原因は現在解明中である。
|
-
[Publications] Oyaizu,H.,Matsumoto,S.,and Gamou,T.: "Distribution of rhizobia in leguminous plants surveyed by phylogenetic identification" J.Gen.Appl.Microbiol.39. 339-354 (1993)
-
[Publications] Sawada H.,Oyaizu,H.,Ieki,H.,and Matsumoto,S.: "Proposal for rejection of Agrobacterium tumefaciens,and revised descriptionsfor the genus Agrobacterium and Agrobacteirum radiobacter and Agrobacterium rhizogenes" Int.J.Syst.Bacteriol.43. 694-702 (1993)