1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05278256
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
海老瀬 潜一 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 室長 (80026260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆信 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 研究員 (00184755)
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Keywords | 農薬 / 栄養塩 / 水田 / 流出特性 / 流出制御 / 用排水管理 |
Research Abstract |
水田は水管理が可能なシステムであり,微量化学物質による水質汚染と農薬流出,水域の富栄養化と栄養塩排出及び耕土の流亡等の関係を制御することが重要な課題である。水管理手法や水稲栽培手法の総合的な検討によって,立地環境状況に適合した最適な耕地管理システムの構築に向けて,以下のように研究を進め,その成果を得た。 (1)農薬排出量と灌漑水管理方式の関係評価 気象や土壌条件がほぼ同一として扱える流域面積147.4km^2の恋瀬川流域で,水管理方式の異なる上流域から下流域の水田群を対象に,灌漑期間を主とした4月下旬〜9月上旬の130日間に,流下方向6地点での47回と頻度の高い定時流出負荷量調査と,中流域での6回の降雨時流出負荷量調査を実施した。代表的水田の田面水農薬濃度レベル変化調査を上記47回の定時調査時に併せて行った。4〜6月の平年値より少ない降水量,加えて,7〜8月の異常低温・日照不足・月間降水量の多さ等の気象・水文条件下の調査となった。農薬の投入量,投入時期,投入方法,用水量,排水量,降水量等と,農薬の流出特性や流出率との関係の定量評価を行った。水稲移植・除草剤散布作業の集中に伴い,移植後1週間前後の降雨時流出により,除草剤は5〜6月2ケ月間の総流出負荷量の20%に近いウエイトを占めた。農薬散布後の個々の農薬流出負荷量ピーク出現時で,その前後の農薬流出負荷量レベルの高い2週間における流出負荷量は,5〜6月2ケ月間の総流出負荷量に占める比率は,Butachlorで83%,Mefenacetで55%,Esprocarbで64%と高かった。 (2)栄養塩排出量と灌漑水管理方式の関係評価 上記の農薬調査と併せて,窒素・リン・SSの流出負荷量調査を実施した。栄養塩や耕土の流出は,田植機による水稲移植のための田面水の一部落水による流出負荷量のウエイトが高く,農薬よりさらに早い時期の流出負荷量が著しく,降雨時流出も含む年間52回の定時負荷量調査の平均値を上回る高いウエイトを占めた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Senichi Ebise and Takanobu Ioue: "Runoff characteristics and obseervation methods of pesticides and nutrients in rural rivers" Water Science & Teclnology. 28. 589-593 (1993)
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[Publications] 海老瀬 潜一・井上 隆信: "河川における懸濁物質の組成" 水環境学会誌. 16. 469-473 (1993)