1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05301004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井狩 彌介 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40142012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡瀬 信之 東海大学, 文学部, 教授 (00056110)
矢野 道雄 京都産業大学, 教養部, 教授 (40065868)
藤井 正人 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (50183926)
徳永 宗雄 京都大学, 文学部, 教授 (70143998)
赤松 明彦 九州大学, 文学部, 助教授 (80159326)
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Keywords | インド法典 / ヤージュニャヴァルキヤ法典 / ヒンドゥー教 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究の内容は、研究分担者を中心として開催された研究会と研究資料整備とからなる。これまでの研究成果の概要は以下の通り。 1.研究会はのべ18回に亘って実施され、古典インド法典「ヤージュニャヴァルキア法典」の原典輸読を中心とする研究を連続して行ってきた。現時点において、本法典全体の約3分の2に当たる部分の検討を終了している。研究会では、本法典の内容とその歴史的な位置付けを考察するに必要な資料のすべてを提示して、綿密な文献学的な検討が重ねられ、多くの新たな知見が得られた。(1)本法典の編纂者/作者が彼以前の伝承を資料として利用しつつ、彼自身の新たな立場を打ち出す方法に関して新たな知見が得られつつある。(2)本法典の現形の構成に関しての問題点が浮き彫りにされ、本法典の形成過程についての新たな視点が得られている。(3)さまざまな刊本にみられる読みの異同の検討から、従来の研究を超えたより的確な本法典の内容理解がなされつつある。インド古典文化の伝統の中での有力な立場を形成する法典分野に関し、インド学各分野の専門家の緊密な協力によって、従来の諸研究の水準を超えた、法典の歴史的な発展過程と内容構成についての知見が研究参加者に共有されて、総合研究の実を挙げつつある。 2.上記研究と並行して、法典研究の資料整備を行ってきた。(1)「ヤージュニャヴァルキア法典」の諸刊本6種の異同を網羅した資料テクストの作成。(2)研究会参加者の分担による、基本的なインド古典法典と関係文献(16点)のコンピュータ・ファイル作成作業を進めている。当該関係資料の集約であるこの「古典インド法典ファイル」は、インド法典研究の基本資料として、本研究のみならず今後の当該分野の研究の発展に重要な役割を果たすものと期待される。
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