1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05301004
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井狩 彌介 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40142012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡瀬 信之 東海大学, 文学部, 教授 (00056110)
矢野 道雄 京都産業大学, 教養部, 教授 (40065868)
藤井 正人 九州大学, 人文科学研究所, 助教授 (50183926)
徳永 宗雄 九州大学, 文学部, 教授 (70143998)
赤松 明彦 九州大学, 文学部, 助教授 (80159326)
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Keywords | ダルマ / インド古典法典 / ヤージュニャヴァルキア法典 / ヒンドゥー教 / サンスクリット |
Research Abstract |
1.本年度に実施した研究の内容は、研究分担者を中心として開催された研究会と研究資料整備とからなる。これまでの研究成果の概要は以下の通り。研究会は14回開催され、昨年度に引き続き古典インド法典『ヤージュニャヴァルキア法典』の原典輪読と研究発表を連続して行ってきた。現時点で本法典全体の検討を終了し、研究分担者による研究発表と討議に移っている。研究会では、本法典の内容とその歴史的な位置付けを考察するに必要な資料のすべてを提示して、綿密な文献学的な検討が重ねられ、多くの新たな知見が得られた。インド学各分野の専門家の緊密な協力により、インド古典文化の正統伝統の基盤を形成する法典分野に関し、従来の諸研究の水準を超えた知見が研究参加者に共有され、総合研究の実を挙げてきた。二年度に亘る研究の結果、上記法典に焦点をあてた以下の研究成果を用意している。1.『ヤージュニャヴァルキア法典』のサンスクリット原典の批判テクストの作成。本法典編纂(およそ紀元後5世紀)以後の約千年間に作られた諸注釈のうち重要な5種と、学界で現在も広く用いられるF.Stenzler本(1849)の提示する読みを、これらに用いられた写本資料を含めて網羅し、これに他文献の並行テクストを集めた批判テクストとして提出する。本法典の歴史的展開を探り、原形の再構成を試みるためには不可欠の基礎資料集であるが、本研究において初めて作成された。2.『インド古典法典・コンピュータ入力ファイル』の作成。上記研究と並行して進められた法典研究資料整備の一環として作成された。古典法典研究資料の集約を目的として、研究分担者を中心とする研究会参加者によって分担入力されたコンピュータ用のテクストファイルの集成。重要なインド古典法典と関係文献(16点)を網羅した、このファイルは、インド法典研究の基本資料として、インド学当該分野の今後の研究発展に重要な役割を果たすものと期待される。このファイルは、コンピュータ・ネットワークを通じて世界の研究者(インド学、法制史)に提供される。なお、この研究の総括となる論文集『ヤージュニャヴァルキア法典研究』(欧文)を数年中に作成し、公刊する計画を立てており、現在、掲載予定の各論文の報告と討議を進めている。
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