1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05301008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森谷 宇一 大阪大学, 文学部, 教授 (70033181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉積 健 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50038973)
渡辺 裕 大阪大学, 文学部, 助教授 (80167163)
奥平 俊六 大阪大学, 文学部, 助教授 (30167324)
上倉 庸敬 大阪大学, 文学部, 助教授 (90115824)
神林 恒道 大阪大学, 文学部, 教授 (80089862)
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Keywords | 芸術 / 芸術学 / 時間 / 文芸学 / 美学 / 映像 / デザイン論 / メディア論 |
Research Abstract |
前年度と同様に、三方向(x軸:哲学的な時間論、y軸:近代芸術観の変遷、z軸:各芸術ジャンルの時間論)にそって研究が進められ、特に再現的芸術の時間について以下のような構造が明らかにされた。 芸術的時間の構造 1.芸術作品の再現対象が持つ時間(歴史的な時間) 2.芸術作品から受容者が再構成する時間 3.芸術作品の主題や構想にそって組み替えられた時間 4.芸術作品の提示形式や表現形式が持つ時間 1.=素材の持つ時間であり、例えば風景の持つ現実世界の時間である。 2.=いわゆる「物語」であり、時間軸にそって受容者が物語を組み立てる時間である。 3.=芸術作品の構図や枠組みを決定するうえで重要な働きをする時間 4.=芸術作品が表象する時間であり、例えば上演時間内で展開する時間である。 本年度の研究分担者の研究発表は主に美術・映像・メディア関係者によるものだった。そのため美術・映像の観点から上記の時間の構造にさらに詳しい解明がなされた。美術では、1=何を描くかの段階、3=デッサンの段階、3=構図決定の段階、4=作品完成、さらに2=作品享受の段階という時間が認められる。絵画の様式や思潮も1や2の時間に影響されており、今後社会学的な観点から美術の変遷を捉える必要があるとされた。また美術作品の内に一つの普遍性を認める近代芸術観は3や4に関係しており、3や4を通して美術作品を哲学的な普遍性へと結びつける際の危険性が明らかにされた。次に映像・メディアでは、4=放映時間、1=歴史的な時間、3=機能化された人物や出来事の時間つまり歴史的な時間から切り取られた時間、2=享受者が再構成する上で一つの基準となる時間となる。このような観点から具体的な作品に即した分析がなされた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 六人部 昭典: "一九世紀半ばのフランス絵画における風景表現" 大手前女子大学論集. 第28号. 75-88 (1994)
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[Publications] 北野 雅弘: "模倣とメニッポス風刺" フィロカリア. 第12号. 13-29 (1995)
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[Publications] 川田都樹子(共訳): "マイケル・フリード「芸術と客体性)" 批評空間・臨時増刊号. 66-100 (1995)