1993 Fiscal Year Annual Research Report
心的過程におけるトップダウン的情報処理の機能的役割に関する研究
Project/Area Number |
05301011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二木 宏明 東京大学, 文学部, 教授 (10073074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 寿一 東京大学, 教養学部, 助教授 (30172894)
水野 節子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (50141247)
高野 陽太郎 東京大学, 文学部, 助教授 (20197122)
立花 政夫 東京大学, 文学部, 教授 (60132734)
中谷 和夫 東京大学, 文学部, 教授 (00026816)
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Keywords | トップダウン処理 / サッケード / スライスパッチ / 眼球運動 / 前頭葉 / 網膜 / 視覚 / フィードバック |
Research Abstract |
知覚・認知班は眼球運動と空間的注意との関係に着目し、サッケードすべき標的地点に被験者が注意を向けていても固視点と標的との間に非標的が提示された場合に眼球運動の終点が非標的寄りに変化するという結果を得て、眼球運動におけるトップダウン処理とボトムアップ処理との間に相互作用が存在することを示した。行動・生理班はサルを被験体とし、色・形・動きという三次元を持つ刺激に対するGO-NO GO学習を行わせfield potentialを同時記録したところ、サルが注目している刺激次元に対応して前頭葉の電気活動が変化することが明らかになり、また単一ニューロン記録をとった予備的な実験でも同様のことが示唆された。視覚におけるフィードバックを担う機構を明らかにする目的で開始した網膜スライス実験は電気生理学的手法及び薬理学的手法により細胞膜に存在する受容体の種類と分布を調べる段階まで進み、スライスパッチ法によって網膜細胞の光応答が記録できることも示されたので、この方法が視覚機能の生理学的基礎を明らかにする上で有用であることが示唆された。基礎班は知覚班・認知班の実験データに基づきサッケードシステムのモデル化を行い、方向を決定した後にその方向に沿った1次元座標上で振幅計算を行うとするモデルは視覚依存性のサッケードの場合に適合し、網膜に対応する2次元座標上で方向及び振幅の計算を同時に行うというモデルは短潜時の反射的なサッケードの場合に適合することを示唆した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 二木宏明: "前頭葉と認知-サルの実験を中心に-" 神経研究の進歩. 37. 34-43 (1993)
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[Publications] 坂上雅道: "Encoding of behavioral significance of visual stimull by primate prefrontal neurons:Relation to relevant task conditions" Experimental Brain Research. (印刷中).
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[Publications] 立花政夫: "Dihydropyridine-sensitive calcium current mediates neurotransmitter release from Bipolar cells of the goldfish retina." The Journal of Neuroscience. 13. 2898-2909 (1993)
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[Publications] 重野 純: "The interdependence of pitch and temporal judgements by absolute pitch possessors." Perception & Psychophysics.54. 682-692 (1993)
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[Publications] 高野陽太郎: "A temporary decline of thinking ability during foreign language processing." Journal of Cross-Cultural Psychology. 24. 445-462 (1993)
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[Publications] 立花政夫: "知覚と認知の心理学4 知覚の機序" 培風館, 200 (1993)