1993 Fiscal Year Annual Research Report
常習的暴力加害者に関する研究-児童期の暴力被害との関係を中心に-
Project/Area Number |
05301068
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
萩原 玉味 明治学院大学, 法学部, 教授 (30062061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 典子 法務省法務総合研究所, 研究官
山上 皓 東京医科歯科大学難治疾患研究所, 教授 (60107315)
石井 トク 広島大学, 法学部, 教授 (10151325)
岩井 宜子 金沢大学, 法学部, 教授 (00151704)
安部 哲夫 北陸大学, 法学部, 教授 (70149152)
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Keywords | 常習的暴力加害者 / 児童虐待 / 性的虐待 |
Research Abstract |
本研究は、最近特に問題となっている児童虐待に焦点を当てることにより、最終的には、常習的暴力加害者に適した社会福祉的・刑事政策的及び種々の法的対応を提示することを目的とする3年計画の調査・研究である。今年度はその第一段階として、家庭における児童虐待に関する調査研究に着手した。第一は、児童相談所が関与したケースのアンケート調査であり、第二は、一般家庭のアンケート調査である。前者については、平成4年度以降に「社会福祉行政業務報告(厚生省報告例)」に示された虐待事例を対象とし、代表的な児童相談所に調査表の記入を依頼した。この調査表は、従来の調査では見られなかった児童虐待加害者の観点を新たに付け加えている点に大きな意味がある。後者即ち、一般調査については、大都市部の小学生以下の子供を持つ一般家庭を対象としたもので、調査表には、具体的な育児方法、親自身の所謂「児童虐待」の認識度や一般の暴力的加害者の特性を知るための質問項目を入れている。この種の調査は大変難しいが、一般調査はこれまで例が無く、潜在的部分ともいうべき家庭内での暴力的行為の実態を幾らかでも把握することができるならば、一つの成果だと考える。 現段階では、いづれの調査も継続中であるが、結果を比較検討することにより、本来の児童虐待と区別されるべき親のしつけのための行動基準を示すことができるであろう。また医学、精神医学、心理学、社会学、犯罪学、刑事政策学、刑事法など巾広い分野の研究者による調査結果の分析を通して、常習的暴力加害者やその被害者への効果的な対応策、防止策への建設的な意見が期待できると思う。
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