1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05303015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 洋匡 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70026186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 紀徳 成蹊大学, 工学部, 助教授 (10150286)
茅原 一之 明治大学, 理工学部, 助教授 (80111566)
迫田 章義 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30170658)
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
北田 敏廣 豊橋技術大学, 工学部, 教授 (40093231)
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Keywords | 地球温暖化 / 物質循環モデル / 炭素循環 / 温室効果気体 / 対流圏オゾン / オーシャンフラックス / 酸性雨 / 地球環境問題 |
Research Abstract |
研究の目的: 人間活動のもたらす球環境変動を予測するためには、第1に気候モデル、第2に物質循環モデル、第3に生態影響モデルが必要とされる。このうち物質循環モデルの開発は特に遅れている。実際、人間活動がどの程度の温室効果ガスの濃度増加をもたらしているのか、排出削減によりどの程度濃度増加が抑制されるのかは不明であり、研究の最も進んだ二酸化炭素についてでも、物質収支さえ明らかになっていないのが現状である(ミッシングシンク問題)。 本研究は工学的な手法を駆使して地球規模物質循環モデルを構築することを目的とする。ここでは、炭素循環を中心とし、温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の消長を地球規模で把握することとする。まず、大気、海洋、陸上生態系について、それぞれの系内の変動を支配する過程を物質に着目してモデリングし、各系の物質循環モデル(要素モデル)を構築する。つぎに、大気、海洋、陸上生態系間の相互作用をモデル化して、これらの要素モデルを統合した「地球生態系総合モデル(マスターモデル)」を構築する。 結果および成果: 1.ハードの整備:ホストのワークステーションとこれにアクセスするネットワークシステムを完成させた。 2.データセットの整備:大気、海洋、陸上生態系モデルに必要なデータセットの整備をほぼ完了させた。地理、気象全球解析(風向、風速、気温、温度、気圧および地上降水量、日射、摩擦、熱流束、粗度など)、海洋大循環データ、植生・土壌分布、土地利用データおよび排出量(SO_2,NO,NO_2、メタン、VOC、CO_2)など。また、これらのデータやモデル結果の表示のためのグラフィックスソフトの整備を行った。 3.要素モデルの検証と地球生態系総合モデルの構築:大気、海洋、陸上生態系それぞれの物質循環モデル(要素モデル)について、以下の数値シミュレーションを実施して妥当性の検証を行った(1)大気中物質循環モデルを用いて、東アジアでの対流圏オゾン、酸性雨の数値シミュレーション。(2)海洋中物質循環モデルを用いて、インド洋での拡散場の数値実験。(3)陸上生態系物質循環モデルについては、土壌中での亜酸化窒素N_2O、メタンCH_4の生成をモデル化し、陸上植生のモデルと組み合わせて、CO_2、N_2O、CH_4の排出量の日変化、季節変化のシミュレーション。 さらに、要素モデルを統合して「地球生態系総合モデル(マスターモデル)を構築した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ueda,H.: "Turbulent mass transfer in the convective boundary layer developing beneaththe air-sea interface" Int Symp.on Global Cycles of Atmos.Greenhouse Gases Sendai. 7-11 (1994)
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[Publications] Ueda,H.: "Characteristics of background surface ozone in Japan" Atmospheric Environment. 28-1. 25-37 (1994)
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[Publications] 北田敏廣: "酸性降水の輸送と反応・沈着モデル" 気象研究ノート. 128. 95-117 (1994)
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[Publications] Suzuki,M.: "Simplified Dynamic Modeling on Carbon Exchange between Atomsphere and Terrestrial Ecosysetms" Ecological Modeling. 70. 161-194 (1993)
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[Publications] 茅原一之: "流域水質管理システム" 化学工業. 45. 52-63 (1994)
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[Publications] Kojima,T.: "Analysis of the Mechanism of Rare Earth Metal Permeation Through a Liquid Membrane With a Chelating Agent in the Feed Phase" Can.J Chem Eng.72. 72-77 (1994)
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[Publications] 植田洋匡: "大気境界層と大気拡散" 日本伝熱学会, 19 (1993)
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[Publications] 植田洋匡: "酸性雨(「次世代技術と熱」-地球環境、エレクトロニクス、生体、エネルギー)" 技法堂出版、日本機械学会編, 8 (1993)